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見た後に、じわじわっと感動持続 SF映画「メッセージ」

6/20(火) 16:56配信

夕刊フジ

 【エンタなう】

 公開されて間もなく1カ月。見た後も、じわじわっと感動が持続するSF映画は久しぶりだ。

 邦題で「メッセージ」と名付けられたこの作品。ある日突然、地球に舞い降りた巨大な宇宙船が、何を意図して、何を伝えにきたかを探るところから始まる。

 カナダの鬼才ドゥニ・ビルヌーブ監督は「日本の“ばかうけ”に影響を受けて宇宙船をデザインした」と明かしたが、もちろん冗談のリップサービス。とはいえ、船内から現れるのはわれわれが子供の頃に思い浮かべたアノ宇宙人の風体で、タコのように墨絵風の“メッセージ”を吹き出す様子は、なかなかにお茶目。大平原に浮かび上がる日本の煎餅に似た宇宙船も味わいがある。

 謎の知的生命体とのコンタクトに唯一成功するのが、軍に駆り出された言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)。彼女が登場するシーンで、愛娘を育てる場面が何度となく挿入される。そして、娘は悲しい最後を遂げるのだが、いったいいつの話なのか、ルイーズは既婚者なのか一切説明がない。

 やがて、知的生命体が伝えたかったことが解読されると、淡々と牧歌的に進んできた映画の世界観が一変する。

 好戦的な地球人の本性があぶりだされ、グローバリズムに逆行する現世への警鐘とも言える結末に連なる。テーマは時空を超えて壮大だ。

 原作は異星人とのコンタクトを描いた中国系米国人作家、テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」。だからなのか、中国も大きなカギを握っている。 (中本裕己)

最終更新:6/20(火) 16:56
夕刊フジ