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韓経:【コラム】THAAD報復より恐ろしいこと=韓国

6/20(火) 10:49配信

中央日報日本語版

韓国全域で1万ウォン(約1000円)で販売されている製品Aがあるとしよう。京畿道坡州(パジュ)テクノバレーのあるスタートアップ(新生ベンチャー企業)がAよりやや優れた性能を持つ製品を同じコストで生産できる方法を見つけた。ところがAは韓国で年間およそ10万個売れる。このスタートアップ経営者は新しい改善案を現物として作り出す時の費用と、この現物で得ることになる収益を比較するだろう。完ぺきに市場を掌握できるとしても、もともとパイが小さい市場ならこの「小さな革新」は現実化しない可能性が高い。

Aが年間100万個売れる市場ならどうなるだろうか。小さな革新で期待できる成功報酬ははるかに大きくなるうえ、生産コストは規模の経済のおかげで減る。この後発走者は新製品を出す可能性が高い。市場のサイズの効果だ。市場を揺さぶるほどの成功神話が築かれるなら、より多くのスタートアップが一攫千金を狙って飛び込むはずであり、市場は革新の熱気で満たされる。

上の設定は不幸にもちょうど韓国と中国の現実として表れている。韓国の企業家はまだ中国産といえば「安物」「模造品」のイメージを描く。しかし模造品のメッカだった広東省深センの華強北通りは最近、閉鎖する店が続出している。安物の模造品を売って賃借料を支払うのは難しいからだ。深センはいつのまにかグローバル企業も認める中国最大の「革新広場」になった。

世界28カ所に研究所を運営する「中国企業らしくない」華為、中国最大スマートフォン企業の歩歩高、世界最大電気自動車企業のBYD、ドローン(無人航空機)市場を開拓したDJIなどがすべて深センを拠点にしている。8億人の利用者を基盤に各種インターネット融合を実験している情報技術(IT)恐竜テンセントも深センに本社がある。シャオミも本社は北京だが、外注の生産は深センに任せる。

これら企業が比較的短い期間にこのように革新のアイコンに浮上したのは、研究開発で勝負をするという「革新DNA」と研究開発成果を短期間に補償できる大きい市場という2つの条件が整っているからだ。

中国市場は数千年間にわたる地方利己主義が依然として続き、破片化した特徴が残っている。しかし物流流通の負担が大きく減る情報通信技術(ICT)領域では、全国型市場が早期に出現することが可能で、4G(第4世代)通信の登場でこうした流れはさらに速くなった。2010年に誕生したシャオミがわずか4年で一時的であれ中国最大のスマートフォン企業になることができたのも、こうした流れに乗ったビジネスモデルを持ち出したからだ。中国市場はすでにグローバル革新企業が自らの構想を現実化するテストベッド(test bed)に浮上している。英フィナンシャルタイムズが最近「中国はもう模造品天国でない」と公式的に認めたことを、韓国企業は真剣に受け止める必要がある。

韓国の超高速インターネットサービスは世界的に誇れるものだった。しかしインターネット基盤の事業モデルと融合サービスは中国が上だ。ネットワーク効果、すなわち先に話した市場の力だ。さらに韓国は革新的アイデアをビジネスモデルに適用するうえで、従来の市場秩序が分配した既得権の抵抗が依然として強い。

中国のTHAAD(高高度防衛ミサイル)報復で韓国の中国事業は多くの面で打撃を受けている。しかしTHAADより恐ろしいのは中国産業界全般に広まっている革新の熱気だ。

パク・レジョン/北京LG経済研究所首席代表

※本記事の原文著作権は「韓国経済新聞社」にあり、中央日報日本語版で翻訳しサービスします。