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<家畜被害>クマ対策限界、頭抱える農家ら 秋田

6/20(火) 9:09配信

毎日新聞

 家畜の牛や鶏がクマに襲われる被害が、秋田県の県北地域で相次いでいる。被害の拡大を防ごうと、農家らは警戒を強めているが、できる対策は限られており、不安の声も上がっている。【川村咲平】

 今月11日早朝。秋田県大館市十二所の養鶏農家、福岡和英さん(52)は、水やりのため比内地鶏約1000羽を飼う鶏舎のビニールハウスに向かい、異変に気付いた。

 ハウス内で約350羽が死んでおり、一部の鶏には、動物にかまれたような痕跡があった。「これまでも小動物や鳥に襲われたことはあったが、被害の甚大ぶりが別次元だった」と福岡さん。ハウスの内側に張られた金網が破られており、クマに襲われたと直感した。

 同市によると、市内では昨年も、クマが鶏舎に侵入し、鶏が死ぬ事故があったが、鶏が食べられた痕跡はなかったという。

 JAあきた北央(北秋田市)管内の比内地鶏生産者団体の代表を務める後藤久美さん(71)は「以前は『クマは肉を食べない』というのが共通認識で、飼料を襲われても鶏自体が被害に遭うことはなかった。クマと人間の生活圏が近付き、クマが人間の食べ物から肉の味を覚えたのではないか」と驚く。

 福岡さんは今回の被害を受け、鶏舎の外側に点滅ライトを新たに設置したほか、ハウス内は夜も明るく照らし、ラジオを流し続けることにした。「養鶏は15年ほど続けているが、これまでクマの被害がなかったから油断していた。可能な限りの手を打ちたい」と警戒を強める。

 一方、2日前の9日昼には、鹿角市十和田大湯地区の山林で、生後間もない子牛1頭が、腹部を食べられた状態で見つかった。周辺にはクマの足跡が残され、やはりクマに襲われたとみられている。

 同市によると、市内では地元のブランド牛「短角牛」や黒毛和種が飼育され、夏場は牛の交配やリフレッシュを目的に、家畜を放牧する。公共管理の放牧地が4カ所あるほか、今回被害があった所のように、個人農家が管理する放牧地もある。

 同市は被害を受けて、管理者に巡回活動の強化などを呼びかけているが、「暑さを避けようと山林深くに入り込む牛もいる。人間の見回りだけでは限界があるだろう」と頭を悩ませている。

最終更新:6/20(火) 9:09
毎日新聞