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少ない残業、離職ゼロ…売り手市場の学生、給料より休日重視も

6/20(火) 17:00配信

京都新聞

 就職活動中の学生に残業時間や年間の休暇日数を開示し、働きやすさをアピールする企業が増えている。電通社員の過労死自殺問題や「働き方改革」の広がりを受け、学生が労働環境を注視するようになったためだ。学生優位の「売り手市場」による採用難に危機感を強める各社は、「ホワイト企業」を印象づけようと腐心している。
■進む労働環境の情報開示
 自動車部品を製造するサンコールは、今年から就業環境に関する情報を就活サイトなどで公開した。説明会に訪れる学生を調査し、関心が高い情報は極力開示する方針に変えた。勤続年数に応じて付与する独自の休暇制度をはじめ、実質130日を超す年間休暇や直近3年間の離職者ゼロなどの数字も挙げ、魅力をPRしている。
 丸山博信人事課長は「給料よりも休日の数や残業時間を重視する若者が増えてきた。人手不足の中で働きやすい職場環境を整えたい」と話す。
 ニチユ三菱フォークリフトも、2016年度の月平均残業18・6時間や有給休暇取得が平均12・2日に上る実績などを就活サイトに載せた。3年間の離職ゼロも強調している。
 京都新聞が京都、滋賀の主要企業に実施したアンケートでは、ホームページや就活サイトで職場環境や労働条件に関する情報を掲載している企業は、回答した114社のうち8割に当たる94社に上った。このうち27社は今年から開示を始めた。
 開示項目(複数回答)で最も多かったのは「研修の有無や内容」の65社。次に「平均勤続年数」が60社で続き、「離職者数」も48社で半数に上った。
■学生の希望「週末は絶対休み」
 学生は企業が開示する社内情報をもとに、就労先を慎重に見定めようとしている。就職支援の学情京都支社(京都市下京区)は今月中旬、京都市内で合同企業説明会を2日間催した。会場では、参加企業の人事担当者らが、若い人材を確保しようと学生を懸命に呼び込んだ。
 「忙しい業界と思われがちだけど、週休2日です」。飲食チェーンを展開する企業の担当者は、ハードな業界という固定イメージを変えようと訪れた学生に熱心に説明した。
 だが、びわこ成蹊スポーツ大4年の男性(22)は、土日に休めるとは限らないと知り、選考の応募は見送った。内々定を得た同級生も徐々に増えているが、「休暇と給料のバランスを見てじっくり選ぶ」と焦りはない。
 同志社大4年の女性(22)も「週末は絶対休みで、京都の実家から通勤できるのが希望。プライベートを充実させたい」と休日を重視する。説明会に参加した学生はそろって、会社選びのポイントに労働環境を挙げた。
 求人情報業界も、こうした就活生のニーズに対応する。15年施行の青少年雇用促進法を受け、全国求人情報協会(東京)は、求人広告に職場情報や固定残業代の明記を求める統一ルールを決定。今年3月から適用した。
 就活サイトの企業ページには月平均の残業時間や過去3年の離職者数などの情報が並び、学生が見比べられるようになっている。情報が少ない企業は敬遠される可能性もある。
 学情京都支社の張本大地支社長は「休日や残業、手当をシビアに見る学生が増えたと感じる」と話す。情報開示の拡大は学生が志望先を絞り込む助けになると評価する一方、「学生が見たい情報しか見ず、浅い動機で就職先を選ぶ懸念もある」と指摘している。

最終更新:6/20(火) 17:00
京都新聞