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アルゼンチン独裁政権時代の社会、若き日の法王通じ描く

6/20(火) 7:40配信

朝日新聞デジタル

 独裁政権に「反体制派」「左翼」とみなされた国民およそ3万人が亡くなったり行方不明になったりした国がある。1976年から83年までのアルゼンチンだ。多くの国民が、友人や知人を捕らわれ、失う経験をした。この国出身であるローマ・カトリック教会のフランシスコ法王もその一人だ。言論や内心の自由が奪われた社会で、苦悩する若き神父の姿を描いた映画「ローマ法王になる日まで」が今月日本で公開された。

【写真】「ローマ法王になる日まで」のダニエーレ・ルケッティ監督=4月27日午後4時19分、東京都渋谷区、岡田玄撮影

 監督はイタリア人のダニエーレ・ルケッティ氏(56)。2013年、史上初の南半球出身のローマ法王となったフランシスコ法王は、差別や貧困問題にも積極的に発言する。ルケッティ氏は「原点」に、アルゼンチンでの軍事政権期の体験があると考える。

 現在の法王であるホルヘ・ベルゴリオ神父は、アルゼンチンのイエズス会管区長として軍政と向き合った。貧困層を助けようとする仲間の神父は「左翼的」として政権に拉致され、拷問を受けた。娘が拉致された友人は、政府に抗議しようとして殺害された。一方でカトリック教会は軍政の反共政策を支持していた。

 映画は、組織と信仰、良心の間に挟まれて苦しむベルゴリオ神父を克明に描く。アルゼンチン時代のベルゴリオ神父を知る同国出身のデ・ルカ・レンゾ・イエズス会日本管区長は「あの難しい時代に、自分の筋を通そうとしたベルゴリオの姿だ」と評価する。

朝日新聞社