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シリアの惨状を伝えるジャーナリストたちに迫った衝撃のドキュメンタリーとは

6/20(火) 23:44配信

シネマトゥデイ

 映画『カルテル・ランド』でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたマシュー・ハイネマン監督が、新作『シティ・オブ・ゴースツ(原題)/ City of Ghosts』について、RBSS(Raqqa is Being Slaughtered Silently)のメンバー、アジーズ氏と共に、6月13日(現地時間)ニューヨークで行われたリンカーンセンター開催のヒューマン・ライツ・ウォッチ・フィルム・フェスティバルで語った。

【写真】マシュー・ハイネマン監督作『カルテル・ランド』

 本作は、シリアのラッカで殺りくを繰り返すイスラム過激派組織ISの残虐行為の様子を、映像や写真に収めることに命懸けで挑み、ラッカの現状を世界に発信するグループ、RBSSに迫ったドキュメンタリー。

 映画内にはかなり残虐な殺害シーンが含まれるが、使用映像の選択についてハイネマン監督は「映画内の全てのシーンにおいて、RBSSのメンバーと撮影中や編集中に議論しながら、どれを使用するかを決めていったよ。特に残虐なシーンに関しては、多くの話し合いをしたんだ。(映像を世に送り出すよりも)RBSSのメンバーの安全が第一で、撮影中や編集中においてもそれが一番重要だったからね」と明かす。予期せぬことが起こる可能性が、撮影中やあるいは公開後にあることもRBSSのメンバーに伝えていたそうだ。

 そのように常に危険が付きまとうRBSSのメンバーについてアジーズ氏は「僕らメンバーの中で、過去にジャーナリズムを学んだ者は誰もいないんだ。メンバーのほとんどは18歳~28歳と若く、僕らがジャーナリズムによる静かな戦争を確立していくには、自分たちの行動に信念を持ち、(殺りくの起きている現場で)ジャーナリストとしての経験を増やす必要があるんだ。シリアの中には、他にも素晴らしい(ジャーナリストの)グループがたくさんいて、僕らを含めた多くのジャーナリストたちが、英語でシリアの現状を伝えていくことで、世界の多くの人々に少しでも理解してもらいたいと思っているんだよ」と語った。

 劇中には、現在ドイツに住むRBSSのメンバーの映像もあるが、難民の移住に反対するドイツ国民についてアジーズ氏は「ドイツ国民は考え直す必要があると思うね。批判する人々はシリアの避難民について理解していないんだ。カラフルな目をしていなくて、ダークな皮膚を持ち、白人でなければ、まるで人間ではないような扱いだ。だから、唯一言えることは『考え直してくれ』ということだけだね」と真剣なまなざしで訴えた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

最終更新:6/20(火) 23:44
シネマトゥデイ