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認証の未来は“耳の穴”にあり? 「AirPods」の意外な可能性

6/20(火) 10:53配信

ITmedia エンタープライズ

 私がここ最近購入した、2つのアップル製品があります。1つは「Apple Watch」。発表時には全く興味がありませんでしたが、ものは試しと一番安いモデルを買ってみました。結果……どれだけ歩いたか、などの活動量計センサーとしては便利でしたが、今ではほとんど身につけなくなってしまいました。確かにこれを付けていると、Macの自動ログインができる機能は便利なものの、私にとっては「なくてもいい」デバイスに落ち着いたのです。

【画像】耳の穴を使って個人認証を行う仕組み

 しかし、もう1つのアップル製品、耳に付けるワイヤレスヘッドフォンの「AirPods」は、ここ5年間で購入したデジタルデバイスでは最高に近いものでした。肌身離さず使っています。これを手に入れてから、初めて音声認識/操作機能の「Siri」も少しずつ使えるようになり、“デバイスが生活をほんの少し変える”ということも体験できました。

●結局、“両手を使う”Apple Watchと“片手ですむ”AirPods

 そもそもApple Watchを購入しようと思ったのは、「iPhoneを取り出さなくても通知が分かるかもしれない」と思ったからでした。しかし、実際に手に入れてみると、Apple Watchを見るためには「服の袖を引っ張る」という動作が必要でした(購入したのは冬だったので、厚着だったということもありますが)。

 袖を引っ張って腕時計を見るためには、もう片方の手を行う必要があります。つまり、両手を使わないと情報を見られません。ごくごく当たり前のことですが、普段、全く腕時計をしない私には、意外と煩わしい動作だったのです。私にとって、その煩わしさは、iPhoneをポケットから出すのと大差なかったのです。

 それを考えると、「通知をさっと知りたい」というニーズを満たすには、むしろ常に耳に入れ続けているAirPodsのほうが便利なのではないかと思ったのです。AirPodsを使った通知の読み上げは、iPhoneが振動したときにAirPodsを2回タップして、「通知を読み上げて」とSiriに向かってしゃべるようにしています。片手でタップするだけで通知内容を知ることができるので、こちらの方がより未来的な印象です。

●常に耳に入っているからこそ、次世代AirPodsに欲しい機能

 久しぶりに素晴らしい製品だと思ったAirPodsは、いまだに品薄なようです。ここまで人気なら、次の製品にも素晴らしい機能が追加されることを期待したいところ。個人的にはぜひ「ノイズキャンセリング機能」が欲しいところですが、それよりも欲しいのは、Apple Watchで一番便利だった「自動ログイン機能」です。

 AirPodsは“常に耳に入っていることが前提の製品”で、個人に近い場所にあります。ならばこれを使うことで、個人を認証できれば便利なはず。そういう技術が存在しないのかと思って調べてみると、なんと、「耳の穴のかたちを音で識別することで、バイオメトリクス個人認証を行う技術」が、NECと長岡技術科学大学によって開発されていました。

 これは、イヤフォンから音を出し、その反響を収集することで個人特有の音響特性を測定し、99%以上の精度で個人を特定するという技術。99%であれば、スマートフォンのロック解除くらいならば許容できる割合ではないかと思います。これがあれば、AirPodsが「鍵」となり、自然な認証ができそうな気がします。こういう分野は、今も日本が得意としているのかもしれませんね。

 スマートウォッチの話題は一巡して、結局スポーツ用途くらいに落ち着きそうな雰囲気になってしまいました。しかし、ウェアラブルデバイスの可能性はまだまだあるはず。手首の次の主戦場が「耳」になる日は来るでしょうか? 個人的にはとても期待しています。