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東芝、超音波を検出するスピン型MEMSマイク開発

6/20(火) 18:23配信

EE Times Japan

■幅広い周波数帯域の稼働音を高精度に取得

 東芝は2017年6月19日、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサー向けに、従来の金属ひずみゲージの2500倍、半導体ひずみゲージの100倍以上の検知感度を持つ「超高感度スピン型ひずみ検知素子」を開発したと発表した。また、同素子を活用することで、超音波を検出できるスピン型MEMSマイクの開発に成功したと報告している。

【今回開発したスピン型MEMSマイクの模式図とマイク動作実証結果】

 MEMSセンサーの多くは、外部からの圧力や音圧などの力により変形するMEMS構造体と、変形したMEMS構造体に生じるひずみを電気信号に変換するひずみ検知素子で構成される。そのため、ひずみ検知素子が高感度化すれば、MEMSセンサーの精度も向上する。そこで東芝は、HDDヘッドやMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)に用いられるスピントロニクス技術を応用し、超高感度スピン型ひずみ検知素子を開発した。

 超高感度スピン型ひずみ検知素子は、従来HDDヘッドの磁界センサーとして用いられてきたMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子に、ひずみによって磁性体の磁化の向きが変化する磁歪効果を応用し、ひずみ検知素子として機能させたものだ。磁歪効果の大きいアモルファスの鉄-ホウ素合金材料を磁性体層に採用し、ひずみ検知感度を大幅に向上させている。その値は従来の金属ひずみゲージの2500倍、半導体ひずみゲージの100倍以上だ。

 東芝は今回、同素子を搭載したスピン型MEMSマイクも開発。その動作実証を実施したところ、人の耳が聞き取れない音域を超えた超音波の検出に成功した。通常の広帯域マイクでは、MEMS構造体に生じるひずみが小さいため、十分な電気信号を得られず、微小な音の検出が困難だ。だが、東芝のスピン型MEMSマイクは、スピン型ひずみ検知素子の搭載により、従来両立できなかった広帯域で高精度な検出を実現した。

 幅広い周波数帯域の稼働音を高精度に取得できるため、スピン型MEMSマイクは機器の状態監視や故障診断への応用が期待できる。東芝は今後、スピン型ひずみ検知素子とスピン型MEMSマイクの早期実用化に向け、さらなる性能向上に取り組むとしている。

最終更新:6/20(火) 18:23
EE Times Japan