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除染事業、安藤ハザマ強制捜査 疑惑次々、見えぬ真実

6/20(火) 7:55配信

産経新聞

 ■領収書なぜ改竄・不正取得の有無は

 東京電力福島第1原発事故の除染事業をめぐり、準大手ゼネコン「安藤ハザマ」(東京)が改竄(かいざん)領収書に基づき宿泊費を不正に取得した疑惑に、司直のメスが入った。東京地検特捜部は同社関係者から任意で事情を聴いており、家宅捜索で押収した資料の分析などを進め、領収書改竄の経緯や不正取得の有無など実態解明に当たるとみられる。

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 今回、明るみに出た疑惑には、(1)領収書は何のために改竄されたのか(2)実際に不正取得はあったのか(3)宿泊費はどのようなプロセスで決定されたのか-など、いまだに不明な点は多い。同社の説明と産経新聞の取材で得られた情報と食い違う部分もある。

 ◆最終契約金額

 領収書の改竄理由について、同社は「除染事業の最終契約金額は改竄領収書の作成以前に決定されていた。改竄領収書に基づいて最終契約金額が決まったわけではないため、なぜ作成したのか分からない」と説明した。この説明の前提には“最終契約金額は適切だった”との考え方がある。

 ただ、除染を発注した福島県田村市の担当者は「最終契約金額は安藤ハザマ側と協議して決まった」と証言。産経新聞が入手した録音記録でも、改竄を指示した同社社員は「領収書のない支出の穴埋めのために宿泊費を増やした」「支出名目を付け替えた」との趣旨の発言をしていた。

 こうした経緯から、最終契約金額自体が、本来は請求できない費用を盛り込むなどして不正に決定され、それに見合うような領収書が作成されたのではないか-との疑惑が浮かび上がる。

 ◆作業員宿泊費

 不正取得の有無についても同社は“最終契約金額の決定が先で、改竄領収書の作成が後だった”という同様の理由で、「時系列的に見て、不正取得が起きた可能性は低い」との見解を示した。しかし、最終契約金額自体の妥当性が揺らぐとすれば、時系列は無意味になり、不正取得がなかったとの保証にはならない。

 今回問題となった宿泊費をめぐっても、同社の説明と取材で得られた情報は異なる。同社は作業員1人1泊当たりの宿泊単価について「行政側が決めることで、受注者は関与できない」と説明している。

 しかし、田村市の担当者は「安藤ハザマから提出された資料や周辺市町村の宿泊単価などを総合考慮し、1人1泊3500円と決定した」と証言。「資料が改竄されていなければ、単価はより低くなった可能性が高い」という。宿泊人数なども「実際に申請された人数が宿泊しているか行政側で把握するのは困難。社会的信用のあるゼネコンを信頼するしかない」と話した。

 ◆誰の意思で…

 このほかにも、改竄は誰の責任・意思で行われたのか▽同社が受注した他の除染事業でも不正はないのか▽除染に参加した他のゼネコンでも同様の不正はなかったのか-など解明されるべき点はなお多い。

 除染はこれまでに3兆円を超す予算が計上されてきた巨額事業であり、過去にも下請け企業などで除染費をめぐる疑惑・不正は指摘されてきた。一方、元請けのゼネコンに関する不正発覚は異例で、被災地や関係者に与えた衝撃や怒りは大きい。

最終更新:6/20(火) 8:07
産経新聞