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3Dプリンティングで次の産業革命をリードする――国内製造業の革新を目指す日本HP

6/20(火) 19:01配信

ITmedia エンタープライズ

 日本HPが2017年6月20日、業務用3Dプリンティングソリューションを発表、日本国内では武藤工業とリコージャパンと協業して提供する。販売時期は8月の予定だ。

【3Dプリンタで作ったサンプルはこちら】

 米HPは2014年に3Dプリンタ業界への参入表明以降、2016年5月に3Dプリンタ「HP Jet Fusion 3D 4200 Printer」と「HP Jet Fusion 3D 3200 Printer」を含む3Dプリンティングシステムを発表し、同12月には販売を開始した。日本では、半年ほど遅れての本格参入となる。

 発表会で日本HP 代表取締役 社長執行役員 岡隆史氏は「国内の製造業は約40万社あり、GDPでは約20%という大きな割合を占めている。日本の将来を占う上で、どうやって製造業を強くしていくかは大事な課題だ。国も後押しをしている『スマートものづくり』や『Society 5.0』の実現に向けて、3Dプリンタを提案していきたい」と抱負を述べた。

 岡氏は「従来の大量生産で低価格化という路線ではなく、これからは高付加価値、多品種かつ小ロット、サービスやソリューションで勝負していくのが日本の未来であり、その中で3Dはキーとなるテクノロジーだ。大型のデジタル印刷機などのマーケットで、日本HPは70%近いシェアを持っており、3Dプリンタはソリューションを展開している日本に合った製品だ」とし、「日本の製造業を変革していきたいというビジョンに共鳴していただいたパートナーが、リコージャパンと武藤工業だ。両社とも3Dプリンタ業界で長年取り組んでおり、全国規模で営業網を持ち、サポートや保守体制を備えているのも魅力だ」と語った。

●3Dプリンティング市場は2021年までに今の3倍まで成長する

 今回投入される業務用3Dプリンティングソリューションで中核となるのが、同社の3Dプリンティング技術「HP Multi Jet Fusion」を採用したHP Jet Fusion 3D 3200 Printerと、HP Jet Fusion 3D 4200 Printerだ。前者はプロトタイプの試作に適したモデルで、後者は小ロットの最終製品製造までカバーする。扱える素材やピッチの幅などが異なり、外観は共通という。価格は4200が約3800万円~で8月から、3200は未定だがおおよそ3000万円台前半~で11月に販売される予定だ。

 米国で導入した事例では、射出成形やコンピュータ数値制御(CNC)と比較して、コストが安く済み、生産期間も約1週間から2週間短くできたという。

 HP Inc.で3Dプリンティングビジネスを担当するステファン・ナイグロ(Stephen Nigro)プレジデントは、「HP Multi Jet Fusionを採用した3Dプリンタは、1970年代終わりから2010年代までの第3次産業革命に続く、第4の産業革命に匹敵する革新的な技術だ。0と1という2進数ですべてができてしまうデジタル製造の時代であり、製造業の革命によって世界経済が変革される」と主張する。

 「現状、3Dプリンティング市場は約60億ドルとまだまだ小さい業界だが、2021年には181億ドル規模に急成長すると予測している。3Dプリンティングを導入することで、製造業は12兆ドル規模以上の成長が見込める」とナイグロ氏は話す。

●ボクセル単位で制御できるのはHPだけ

 ナイグロ氏は「HP Multi Jet Fusionは、HPが30年以上にわたって培ってきたプリンティング技術と5000以上の特許が活用され、400以上の3Dプリンティング特許を申請している。(2Dにおけるピクセルに相当する)ボクセル単位での製造を実現する技術で、他社製品に比べて1日あたりのパーツ生産量は約10倍、プリント幅も6インチ~110インチと幅広く、パーツあたりのコストも最大50%削減できる。オープンなプラットフォームの採用で、新材料の開発やアプリの提供、多彩なパートナーが参入できるのも強みだ」と自信を見せた。

 なお、発表会で実機の展示は見送られたが、2017年6月21日~23日に東京ビッグサイトで開催される「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS)」の日本HPブースでは、製品紹介やデモンストレーションが実施される。製造サンプルも展示されるので、HPが目指す新たな産業革命の一端に触れるいい機会といえるだろう。