ここから本文です

内戦主導権せめぎ合い ポストIS、一層不透明に

6/20(火) 7:55配信

産経新聞

 米国とイランがシリア国内への軍事攻撃に踏み切ったことで、内戦をめぐる関係各国の緊張がさらに高まる恐れが出てきた。シリア軍機撃墜を受け、アサド政権の後ろ盾であるロシアは米国などとの軍事衝突さえ辞さない構えをみせており、「ポストIS」の統治形態をめぐる駆け引きにも大きな影響が出そうだ。

 米国は、ロシアとイランとの間でISの打倒では一致しているが、アサド政権の扱いで鋭く対立している。

 シリアのアサド大統領はイスラム教シーア派に分類される国内少数派アラウィー派の出身で、シーア派大国のイランはアサド政権存続を目指して支援してきた。ロシアもIS指導者、バグダーディ容疑者を空爆で殺害した可能性があると述べ、内戦での主導権をアピールしたばかりだ。

 ◆「首都」奪還ヤマ場

 内戦では今月6日、米軍の支援を受けるシリア民主軍(SDF)が、ISが「首都」だと宣言した北部ラッカへの進攻開始を宣言。米軍機がアサド政権軍の戦闘機を撃墜したタブカは、ラッカの西約50キロに位置しており、作戦がヤマ場にさしかかっていることを示している。

 米・イラン両国が内戦への関与を深めたことで、IS打倒後のシリアの統治体制は一層不透明になった。トランプ米政権は「テロ組織を支援している」とイランを非難し続けており、内戦終結後の体制の協議などは到底望めない。ロシアも含め、いずれも譲らなければ内戦がさらに激しくなる恐れもある。

 ◆トルコと隔たり

 不安定要因は他にもある。SDFはアラブ人の民兵部隊と少数民族クルド人の軍事組織で構成されており、ラッカ攻略を目指す米軍が支援してきた。これに対し、シリアと国境を接するトルコは、クルド人部隊は国内の非合法武装組織「クルド労働者党」(PKK)の「分派」だとして米国の姿勢を批判している。

 イラク北部モスルでも、ISの掃討が実現したとしても、その後はシーア派主体の政権とスンニ派、クルド人勢力の3者の対立の再燃が懸念される。シリアでもイラクでも、「ポストIS」をにらんだ調整が急務のはずだが、見通しは暗いのが実情だ。(カイロ 佐藤貴生)

最終更新:6/20(火) 7:55
産経新聞