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<株主総会>旧村上系ファンド活発化 「物言う株主」に警戒

6/20(火) 20:33配信

毎日新聞

 上場企業の株主総会シーズンを迎え、村上世彰氏が率いた投資ファンド「村上ファンド」の流れをくむ「物言う株主」の動きが注目されている。旧村上ファンド出身者が運営するファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」が筆頭株主の川崎汽船では社長再任が危ぶまれるほか、村上氏の長女で投資家の野村絢氏らは、電子部品商社、黒田電気に独自の社外取締役候補を提案。「物言う株主」の攻勢に企業側は警戒感を強めている。【井出晋平、横山三加子】

 エフィッシモは、旧村上ファンド幹部が2006年に設立した投資ファンド。15年秋以降、川崎汽船の株を買い進めて現在は38.43%を保有する筆頭株主だ。昨年の川崎汽船の株主総会では、村上英三社長の再任議案に反対したとみられ、議案への賛成票は56.88%と、可決ライン(過半数)ぎりぎりだった。エフィッシモは今回、株保有比率を昨年より高めており、今月23日の株主総会で社長の再任議案が通るかは予断を許さない。

 川崎汽船は、世界的な海運不況で17年3月期に2年連続の連結最終赤字を記録。業績改善に向けて定期コンテナ船事業の再編などが柱の中期経営計画を発表し、「全ての株主に議案への理解を得たい」(広報)と話す。エフィッシモは毎日新聞の取材に「個別の投資先についてのコメントは控える」としている。

 一方、村上氏の長女の野村氏は関連投資会社レノなどと共同で黒田電気株36.17%を保有。29日開催の黒田電気の株主総会に向けて、元官僚を社外取締役に選任するよう求める株主提案を出している。黒田電気は主力の液晶パネル取引が低迷。野村氏らは、取締役を送り込んで他社との経営統合などで収益改善を目指すという。黒田電気は「経営の大きな方針が異なり賛同できない」と反発している。

 野村氏らは15年にも黒田電気に村上世彰氏ら4人を社外取締役に選任するよう提案したが、当時は保有比率が16%程度だったこともあり否決された。今回は、株を買い増した上で他の株主の賛同を得やすいように候補を1人に絞り込んだとみられる。黒田電気は外国人株主が約3割を占め、その動向がカギとなりそうだ。

 旧村上系では他に、ストラテジックキャピタルも専門商社の蝶理などに増配などの株主提案を出した。

 大和総研によると、16年7月~17年6月の株主総会での株主提案数は46社230議案と増加傾向。大和総研経営コンサルティング第2部の吉川英徳主任コンサルタントは「政府もガバナンス(企業統治)改革を促している。企業側は『物言う株主』だけでなく一般投資家にも経営方針などの説明を徹底すべきだ」と指摘する。

 ◇ことば「物言う株主」

 企業の株式を大量に取得し、独自の経営改善策を提案して株価上昇や配当増額を狙う投資家。経営陣に不満な場合は自ら選んだ人物を役員に起用するように迫ることも。英語で「アクティビスト」。

 国内では元官僚の村上世彰氏が2000年代に率いた「村上ファンド」が有名。阪急阪神ホールディングスの前身の阪神電鉄株を大量に買い付けて子会社の上場を迫るなどして注目された。

 08年の米リーマン・ショック後は一時、鳴りを潜めたが、近年、再び投資を活発化。13年には物言うファンドの米サード・ポイントがソニーに映画・音楽事業の分社化を迫った。強引な手法に批判があるが、独自の提案が企業価値向上に役立つとの評価もある。

最終更新:6/20(火) 22:36
毎日新聞