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<小池知事>「築地は守る、豊洲を生かす」 会見詳報

6/20(火) 20:43配信

毎日新聞

 豊洲市場への移転問題について、20日午後、都庁で緊急会見し、豊洲への市場機能移転などを表明した小池百合子知事の言葉は次の通り。

 ◇東京の総合的な発展を実行する最後のチャンス

 本日、私は築地市場の再開発を含めた市場の新たなプランについて、都職員にまとめるよう指示をしたところです。理由は二つ。

 まず一つ。豊洲市場は6000億円かけて造られたが、「豊洲ありき」で移転後の計画が不十分ではなかったか。そして、これまでの都政において築地市場を売却して費用の穴埋めをする計画はあったが、移転後に毎年生じる年間100億円近い赤字にどう対応するか。そして、やがて豊洲が老朽化し、更新する時の費用をどうするか、というような点は吟味されてこなかった。

 いわば今を生きる人たちは見ているものの、累積する赤字という「負の遺産」に向き合うことに将来なってしまう。子どもや孫たちの将来への責任に真正面から答えられるような計画でなかったのではないかと。これまで、石原慎太郎・元知事が豊洲移転を決定してから、行政からも、議会からも、長期的な計画は聞こえてこなかったように思う。昨年11月に設定したロードマップに従って、一つ一つ行政手続きを踏んできた。先だって「市場のあり方戦略本部」(戦略本部)を開き、さまざまな選択肢、今後の青写真というものがでてきた。当初は、豊洲市場に移転し、築地市場の跡地を売却して精算する案だったが、今回の戦略本部では、ABCDと案が出された。これまでにない戦略的な市場のあり方、その総点検をしたおかげではないか。

 築地市場の売却だが、一次的にはお金が入るが、一昔前のようにハコモノを造ったら終わりというような、将来世代へのツケを残していいものか。私はいけないと思う。また、これまでのようなタコ足経営に終止符を打って、むしろ東京の戦略的、総合的な発展を必死に考えて実行する最後のチャンスになると考えたからだ。

 ◇「築地ブランド」さらに育てるため、しっかりした手を打つべき

 2点目。世界に誇る「築地ブランド」を長い間、汗水流して必死の思いで育て守ってきた市場の方々に対し、真に向き合っていく必要があると感じたからだ。ご存じのように石原元知事時代に、土壌汚染の可能性が指摘された東京ガス跡地に建てた豊洲への移転については、環境基準以下に有害物質を抑えるという約束、「無害化」を念頭に置いてきたわけだ。一方で、その土壌対策、汚染対策には850億円以上も投じられてきたが、今年1月からのモニタリング調査でも、いまだに有害物質が基準値を大幅に上回って検出された。よって、現在においても無害化の約束が果たされているとは言えない状況だ。

 逆に昨年11月、あるはずの盛り土がなかったり、モニタリングで有害物質が検出されたことが分かっていながら、既に売却された築地を失い、行き場をなくしてしまっていた市場関係者の皆様は「いったいどうしたらいいか」と思ったのではないかと思う。そのうえで、先の専門家会議で、安全性を検証していただいた平田(健正)座長が「地上は安全だ」と。しかし、有害物質が検出された地下については「追加対策が必要」との意見を出された。改めて、専門家会議が再度検証した答えだ。

 先日、築地市場に赴き、市場関係者の方々から率直なご意見も伺った。「私は築地が大好きだ」「この際、時間をかけてもしっかりとしたものを決めてほしい」など、切実な声を伺った。我が国は、伝統文化を大切にしてきた。長い間、築地市場の方々、都民、日本が育て守ってきた「築地」の伝統やブランド、私はこれらを守るんだという信念と、豊洲で累積する赤字という負の遺産を残してはならないという次の世代への思いと、日本一の世界に誇る「築地ブランド」からの食の魂をこめまして、この築地を再開発する基本方針を判断するにいたった。

 築地の跡地を再開発するということにも、もちろん課題は山積している。しかし老朽化している今の築地で今後、高い確率で発生すると予想される首都直下地震への対応も考えなければいけない。築地ブランドを今後50~70年とさらに育てるため、応急手当てではなく、しっかりとした手を打つべきではないかと考える。もちろん、最終的に決定する権限をもつのは都議会だが、新たな東京の一大拠点を造るという希望、これがあれば私は必ず実現できるものと考える。

 ◇基本方針「築地は守る、豊洲を生かす」

 市場移転の問題に関してパワーポイントにまとめた。まず、豊洲の状況と課題を確認します。安全・安心の基準は先ほど申し上げたように議会の付帯決議、市場長答弁などがあったが、未達成ということで、先日、築地で皆さまに謝ったところだ。今後も事業者と都民の皆さまの信頼を得るため、最大限の努力が必要だと痛感した。

 次に豊洲開場後の健全な計画を確保しないといけない。これまで都民全体の財産である築地市場を売却し、資金を充当する考えがあったが、一方で豊洲市場も開場後は赤字がかさむ。先日の戦略本部でもこの見通しは示された。赤字は毎年21億円という数字がはじき出された。都民の財産、税金がドンと投入されることはあってはならない。

 築地の状況もおさらいしたい。老朽化が進む、首都直下地震にどこまで耐えられるか、課題がある。施設改修も必要だ。土壌汚染調査も行っているが、必要な調査が求められる。関係者ヒアリングを通じて明確なように、取扱量、取扱金額、仲卸の業者数は、この25年でほぼ半減の状況だ。物流が特に変化が激しいということだ。できるだけ早急な対策が必要だ。

 築地市場の高いブランド力は、都の莫大な資産と考えられる。高い知名度、長い歴史、日本で唯一市場がブランドになった稀有(けう)な存在だ。その核は仲卸の皆さん、皆さんの目利き力がまさにブランドの宝の部分。一方で、不動産のロケーションについては、東京の中でも何者にも代え難いものがある。市場内外が一体となった食のにぎわいがあるからこそ、世界から観光客を引きつけている。「築地ブランド」を維持、活用、発展させ、新しい政策を展開しようと考えている。

 基本方針だが、一は築地は守る、豊洲を生かす。「築地の後は築地」ということも言える。一方、豊洲市場の問題は地下空間の追加対策については先日、地下水管理システムの補強策も専門家会議で指摘があったが、安全対策を講じたうえで、豊洲市場を生かすべきではないかと。二は、豊洲市場は冷凍冷蔵、加工などの機能をベースに造られているが、一層強化してITを活用したユビキタス社会の物流、総合物流拠点となる中央卸売市場になると考える。三は、東京都は事業者、都民の皆さまの信頼回復に徹底的に取り組む。これらの基本方針をもとに、早急に具体的な方策を詰めるよう、事務方に指示した。

 ◇豊洲市場 物流強化の「中央卸売市場+物流センター」に

 卸売市場は変化している。その取引は、競りからIT、相対取引が増加している。市場の役割は物流、加工機能が増加している。これに築地のポテンシャルをかけると新たな姿が見えるのではないか。

 豊洲市場は羽田空港と成田空港に近い。環状2号線の開通で、さらに利便性は向上する。その結果、湾岸地域の物流センターとして有利な立地であると考える。豊洲市場では市場機能のうち移転配送機能、市場外流通機能を維持発展させることで新たなビジネスチャンスもでてくると考える。2020年からフロン規制が強まり、各地の業務用冷凍冷蔵庫が更新される時期にさしかかる。冷凍冷蔵庫を備えたセンターには大きな可能性がある。各地の業務用冷凍冷蔵庫だが、かなり年代物も多く、更新の時期やフロン規制とも重なる。冷凍倉庫の需給ギャップの拡大ということが分かる。大型物流施設の実質賃料は特に東京湾岸エリアで上昇している。中央卸売市場に加えてこのようなITを活用した新たな物流拠点にもなり得るということだ。

 そこで豊洲へのこれまでの過剰投資とも言うべきものを、築地市場のワンショットの売却で充当すべきではないと考えている。築地市場の土地は売却せず、保有してむしろ有効活用させてキャッシュを継続的に創出できるのではないかと。豊洲は将来的に物流機能も強化した「中央卸売市場+物流センター」として効率経営に徹することで、赤字の負担を軽減しつつ存続も可能としていく。よって、豊洲、築地を両立させることがもっともかしこい使い道ではないか。その鍵は市場会計が独立採算制の本旨に立ち返って、規律ある築地再開発と豊洲活用による自律経営をめざすことにあるのではないかと考える。

 東京都の信頼回復のための行動ですが、築地の再開発、豊洲市場を活用する具体案を業者、都民の皆さまとオープンの対話の場で広く情報公開しながら検討したい。皆さまからいろんなご意見を伺い、アイデアを募りたい。築地の再整備だが、豊洲への移転、築地への復帰ということ、これはそれぞれの方々が選択されることになると思うが、特に仲卸業者への経営支援について検討したい。築地市場のまちづくりについて場外市場の方、新規参入も含めた行程表を作成したい。

 築地、豊洲を行ったり来たりして恐縮だが、豊洲移転は冒頭に申し上げたように議会の付帯決議、市場長答弁などがあって、さまざまな努力を重ねて来たわけだが、専門家会議で提言された地下空間工事、それから地下水管理システムの増強工事、モニタリングなどをしっかりとすることが必要だと思う。豊洲の安全性を情報公開することで、風評被害をふっしょくして参りたい。

 ◇豊洲整備費用「新たな税金投入ないよう検討中」

 --5年後をメドに再開発というが、もう少し具体的に。豊洲に一旦は移るのはいつ? 築地はいつ更地にして、どう開発するのか。

 知事 今日は基本方針を述べさせていただいた。詳しい日程は、市場関係者との話も詰めていかないと。オリンピックは日程が決まっているから、その中で現実的な案に結びつけていく。

 --輸送機能は豊洲だが、市場機能は築地なのか? 市場が二つ存在するのか? 豊洲は市場ではないのか? 立ち位置の違いは?

 知事 いえ、豊洲市場は新たな中央卸売市場としての機能を優先させる。その上で、さまざまな物流の変化がある。その中で、物流の機能をさらに強めるということ。築地についても今、中央卸売市場についての法律もかなり転換期にきているということもある。それらをにらみながら一番、市場機能が確保できるための方策を見いだしていきたい。

 --築地への復帰にともなう業者、特に仲卸は一度中央卸売市場として豊洲に行った後に築地に復帰するのか?

 知事 基本的に業者の方々の経営方針、判断によるものだと思います。仲卸の方々は築地だからこそ経営が可能だ、と考える方々もおられる。そうした方々には築地に復帰される際のお手伝いはするということ。

 --豊洲整備の借金はどう返すのか? 追加の税金はいくら?

 知事 いま精査をさせているところ。これによって市場会計を傷めることのないよう、また税金を新たに投入することのないよう検討させている。

 --税金は投入されない?

 知事 さまざまな方法を考えて、ベストなワイズスペンディングでいきたい。

 --大事な問題だから、もうちょっとやりませんか? 知事、質疑応答もうちょっとやりませんか?

 知事 (声の方向を見るが、立ち去る)

最終更新:6/20(火) 21:04
毎日新聞