ここから本文です

只見線復旧 正式に合意 JRと県、来年度早期に着工へ

6/20(火) 9:44配信

福島民報

 2011(平成23)年7月の新潟・福島豪雨で不通となっている只見線の会津川口-只見駅間(27・6キロ)について鉄路復旧で大筋合意していたJR東日本と県は19日、基本合意書を締結し、2021年度中に運行を再開させる目標を明らかにした。工期は3年の見込みでJR東は福島県と施工協定を結んだ後、詳細設計に入り、2018年度早期に着工する方針。
 県庁で内堀雅雄知事と合意書を交わしたJR東の深沢祐二副社長は「地元の皆さんに利用してもらうのが非常に大事。首都圏をはじめ県外から只見線に乗ってもらえるようキャンペーンを展開する」と述べ、利用促進を強調した。内堀知事は観光や教育旅行などを盛り込んだ利活用計画案を年内に取りまとめる考えを示した。
 基本合意では、県が線路や駅舎などの鉄道施設や土地を保有し、JR東は車両の運行を担う「上下分離方式」を採用し、復旧工事はJR東が実施する。復旧費約81億円のうち3分の1の約27億円をJR東が、3分の2の約54億円を県と会津地方17市町村が拠出する。
 年間約2億1千万円の維持管理費についても県と会津17市町村で負担する。鉄道施設は復旧後、県に無償譲渡する。上下線の運行本数は被災前の1日3往復を維持する。
 JR東は当初、利用客減少などを理由に不通区間のバス代替輸送を主張していたが、県や会津17市町村が「地元の総意」として強く望んだ鉄路復旧を受け入れた。

■地元の悲願実る

 19日に県庁で行われたJR只見線復旧の基本合意書の締結式。「(JR東日本には)地元の思いをしっかり受け止めてもらった。市町村と一体となり日本一のローカル線にしたい」。JRや国との交渉に奔走してきた内堀雅雄知事は感慨深げに語った。
 只見線は長年、奥会津地方の住民生活を支えるとともに観光振興の柱となってきた。復旧は地域の悲願だった。内堀知事には国内外の鉄道愛好家から人気の路線が復活すれば、人口減が進む会津地方の活性化の“武器”になるとの思いがあった。
    ◇   ◇
 「要望活動が実を結び感無量。特色ある町づくりを進められる」。不通による観光や住民生活への影響を受け続けてきた金山町の長谷川盛雄町長も吉報に声を弾ませた。
 関係者によると、JRは不通区間の会津川口(金山)-只見(只見)駅間で代行バスを運行しているが、バスの乗車定員が列車より少ないため、只見線を使った大人数の旅行を断念する団体があったという。また、不通になるまで会津若松-只見駅間を定期的に運行していたSLは、運行区間が短くなって名勝地の橋りょうを走る姿がなくなり、撮影目的の鉄道愛好家が大きく減った。
 それだけに、地元首長らは鉄路復活の経済効果に期待する。只見町の菅家三雄町長は「鉄道を地域経済の活性化につなげたい」と意欲を見せた。
    ◇   ◇
 一方で、地元関係者からは「喜んでばかりいられない」との声も聞かれる。再開通を見据え、県や沿線市町村は路線維持のための利用客増、鉄道施設などを維持・管理するための財源確保に迫られる。「只見線の復旧はこれからが本番」。ある行政関係者は自らに言い聞かせるように語った。

福島民報社

最終更新:6/20(火) 9:47
福島民報