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ごみ収集車用デオドラントで作業員の労働環境改善 開発のきっかけは人工肛門

6/20(火) 7:45配信

SankeiBiz

 ■悪臭組み込み良いにおいに変化

 特殊車両製造の新明和工業、繊維大手のシキボウ、山本香料(大阪市中央区)、凸版印刷の4社が、ごみを収集する塵芥車(じんかいしゃ)用臭気対策剤「デオマジック香りdeまじっく」を開発した。大手や中小がタッグを組み、生ごみ収集時に発生する悪臭に悩む作業員の労働環境改善を実現した。

 生ごみ臭を一瞬にしてフルーティーな香りに変えるこの臭気対策剤は、シキボウと山本香料が2011年に共同開発した消臭加工繊維「デオマジック」がベースだ。悪臭をなくす方法としては、芳香スプレーのように悪臭よりも強いにおいを出すのが一般的だが、デオマジックでは、あらかじめ不快なにおいの成分を取り除いた香料に、不快なにおいが混ざることで新たな良い香りに変化させる。つまり悪臭を香料の成分の一部として組み込むことで、良い香りに変えようという発想だ。

 この技術の開発は10年ほど前、「人工肛門をつけた患者から、専用のパウチを腹部に付けているが、そこから出る便臭を消すようなカバーが欲しいとの依頼があった」(シキボウの辻本裕開発技術部長)ことがきっかけだ。

 中々アイデアが浮かばないなか、10年7月、朝日放送の人気テレビ番組「探偵! ナイトスクープ」で「糞便(ふんべん)臭のする工具箱を何とかしてほしい」という視聴者の依頼に応えるため、山本香料の山本芳邦社長が出演し自社技術で解決に導いたことが放送された。自宅でそれを見ていたシキボウの辻本氏が「これだ!」と直感し、すぐ共同開発の話を持ちかけた。

 数百種類の香料から、最適な組み合わせと配合の割合を何度も繰り返し実験しながら、においのサンプルを作成。1年がかりで糞便臭を消す新技術「デオマジック」を完成させた。

 11年8月3日、大阪市中央区のシキボウ本社で開かれた記者発表会。集まった記者たちにきつい糞便臭をかがせたあと、スプレーに入ったデオマジックの原料となる液体香料をかけると糞便臭は完全に消えていた。改めてそのにおいをかいだ記者からは驚きの声が上がり、多くのメディアに取り上げられることになる。

 シキボウは、デオマジックの用途を介護用品と想定していたが、このあと、思わぬところから反響が相次ぐことになる。

最終更新:6/20(火) 7:45
SankeiBiz