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App Storeのランキングを不正操作する中国の「クリック農場」の実態

6/20(火) 13:12配信

THE ZERO/ONE

不正操作に使われるクリック農場

アプリ開発・運営企業にとって、App Storeのランキング上位に入るかどうかは死活問題だ。多くのユーザーがApp Storeのランキングを参考にして、アプリを選ぶため、ランキング下位のアプリは存在しないも同然になってしまう。無料アプリのビジネスモデルは、広告配信とアプリ内課金なので、ダウンロード数が多くなければビジネスが成立しない。

アップルは、このランキングを不正操作するいかなる行為も禁止しているが、ASO(App Store Optimazation)と称して、ランキングの不正操作を請け負う業者が跡を絶たない。中国には、大量のスマートフォンを使って不正操作を行うクリック農場(クリックファーム)が存在する。

クリック農場(click farm)の存在は、以前から噂には上っていた。ツイッターが流行した2009年頃、フォロワー数を不正に増やすために、大量のツイッターアカウントを取得し、依頼者のフォローを行うクリック農場の存在が知られるようになった。

それを具体的な形で示したのが、中国SNS「微博」(ウェイボー)に@tombkeeperが2015年2月2日にアップした一枚の写真だった。ずらりと並んだiPhoneの前で、女性工員が作業をしている。この写真は、『Tech in Asia」などのメディアに転載され、世界中で話題となった。

そして、今年の5月11日に、ロシアのメディア「English Russia」がツイッターにあげた一本の動画が再び話題になった。中国のクリック農場を取材した動画で、これも世界中に拡散して話題になっている。

中国でもこの話題を受けて、設計癖などのメディアが、クリック農場について解説している。

人肉刷を使ったランキング不正操作

アップルは、App Storeランキングの不正操作を禁じている。不正が発覚すると、そのアプリを「リジェクト」(Apple Storeからアプリが排除されるため、iOSアプリの場合、配布方法がなくなる)という厳しい処置をとっている。

といっても、数年前まで、実際にリジェクト処置を取ることはそうは多くなかったため、手作業によるクリック農場を利用して、ランキング上位に食い込もうとするアプリも多かった。

ところが、iPhoneの利用者増大により「最低100万ダウンロードに達しないアプリは失敗プロジェクト」と言われるようになると、このような手作業のASOではまったく追いつけなくなった。そこで登場したのがリワード広告アプリだ。

リワード広告は、発祥は米国だとも言われるが、盛んだったのは日本で、その後、中国にも飛び火した。お小遣いアプリとも呼ばれ、このアプリの中から指定したゲームアプリなどをダウンロードしたり、会員登録すると、ポイントが付与され、それをコンビニポイントやTポイントなどに変換できるというもの。依頼のあったアプリ運営会社から、広告料を取ることで、利益を出している。

中国のリワード広告アプリは「人肉刷」と呼ばれ、利用者は「徒弟」と呼ばれる。徒弟が指定されたアプリをインストールすると2元前後(約30円)のポイントがもらえ、毎日数十元を稼ぐ徒弟もいるという。

しかし2016年3月に、アップルはこのリワード広告アプリを一斉リジェクトした。ASO業界は一種のパニック状態になった。すると、次に登場したのがウェブでのリワード広告だった。アプリではないので、App Storeからリジェクトされることもない。日本でも、人気ゲーム「モンスターストライク」関連のサイトで、指定したアプリをインストールすると、「モンスターストライク」関連のアイテムがもらえるというリワード広告サイトが問題視されたりもした。

アップルはこれにも手を打った。2016年6月には、「App Store審査ガイドライン」を改訂して、リワード広告を行った企業だけではなく、依頼をしたアプリ側もリジェクトやデベロッパーからの除名の処置を取るとはっきりと明記した。これで、ウェブのリワード広告もほとんど不可能となった。

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最終更新:6/20(火) 13:12
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