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アメリカの北朝鮮「先制攻撃」情報に踊らされた日本 ー 榊原英資氏が語る「日本には情報機関が必要」

6/20(火) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

アメリカはすぐにでも北朝鮮を先制攻撃するのではないか ー 朝鮮半島情勢が緊迫する中、今春、日本ではこんな報道が相次いだ。

【画像】度重なるミサイル発射を受け、トランプ政権は朝鮮半島周辺での軍事プレゼンスを高めるなど、圧力をかけた。

北朝鮮のミサイル発射を受け、東京の地下鉄や新幹線が止まる事態にもなった。一方、韓国では「緊張感がなさすぎ」と報じられるほど日常の生活が続き、「日本は不安をあおりすぎ」との批判が沸き起こった。

なぜ日本と韓国で対応が分かれたのか

アメリカの北朝鮮に対する先制攻撃シナリオを一部の日本メディアが報じ続ける中、マティス米国防長官は5月19日、北朝鮮に対する軍事行動が「想像を絶する悲劇」を引き起こすと述べ、軍事的な解決が事実上、困難なことを認めた。

この間、トランプ政権が北朝鮮の核ミサイル開発を抑止するために平壌に「最大限の圧力」をかける中、日本の当局者やメディア、マーケット関係者はトランプ政権の情報戦にうまく操られ、煽られていたのではないか。日韓の対応の違いには、情報の偏りもあるのではないか。

長年、対米交渉の最前線に立ち、アメリカの情報戦にも詳しい元財務省財務官の榊原英資氏は、他の主要国に存在するような情報機関が日本にないため、相手国から流される情報に振り回されると指摘、日本は情報機関を設置し、独自に情報を確認できるシステムを早急に持つべきだと述べた。6月7日に行った榊原氏とのインタビューは以下の通り。

高橋:4月には、アメリカが北朝鮮を攻撃するのではないかとの国内報道が相次いだ。今回、日本政府の当局者も、メディアも、マーケットの関係者も「アメリカは北朝鮮に対して今すぐにでも先制攻撃する」といった強迫観念を抱いていたように思える。どう見られたか。

榊原英資(以下、榊原):アメリカは北朝鮮を攻撃できない。そんなことをしたら、まずソウルが火の海になってしまう。そう簡単には北朝鮮攻撃なんてできっこない。また朝鮮戦争になってしまう。ソウルは(北緯)38度線のすぐそばだ。

高橋:日本は、北朝鮮に圧力をかけるトランプ政権の情報戦にまんまと踊らされたのではないか。

榊原:具体的にどうやったかは分からないが、アメリカがいろいろな情報操作をすることは確かだ。自分の立場を有利にするために、情報操作をすることは十分にあり得る。私が日米交渉をしていた時も、交渉で非常に重要なのは相手の世論を誘導することだった。当然、アメリカはそれをやる。日本も本当はやらなければいけないが、なかなかできていない。

アメリカだけでなく、イギリスにも中国にも、情報戦略はどこの国にもある。アメリカにはCIA(中央情報局)のほか、ペンタゴン(国防総省)の中にDIA(国防情報局)がある。英国にはMI6がある。先進国、あるいは世界の大国の中で、情報機関がないのは日本のみだ。

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