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スタートアップシティー福岡市が電子国家エストニアで感じた手応えと課題

6/20(火) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

エストニアで5月に開催された欧米の先進企業や注目のスタートアップが数多く登壇、出展するテクノロジーカンファレンス「Latitude59」に、日本から唯一出展したのが福岡市。2年連続、2回目の出展となる。そこで得た手応えと課題はー。

【画像】2回目の出展だった福岡市のブースには、多くの関心が寄せられた。

出展するのには、もちろん理由がある。海外のスタートアップにとっての日本市場への「ゲートウェイ」を目指す福岡市は、海外の各都市と拠点連携を図っており、そのうちの一つが「電子国家」であるエストニアの首都、タリンなのだ。

福岡市は地元のスタートアップとともに参加し、彼らを欧米の企業、投資家らに売り込んだ。同時に同じくイベントに出展するエストニアや周辺国のスタートアップに、福岡市の魅力をアピールした。

福岡市が熱視線を送るエストニアとは?

エストニアは北欧に属し、バルト三国で最も北に位置する。北は湾をはさんでフィンランド、西はバルト海、南はラトビア、東はロシアと接する。面積は九州の約1.2倍、人口は約130万人と小国で、1991年に旧ソビエト連邦から独立した。

小国ながらも、近年世界中のIT業界関係者から注目を集めている。理由は、前述の通り「電子国家」として政府主導で先進的な取り組みを行い、成功する地場のスタートアップを輩出し、海外から投資を呼び込むなど実績を収めてきたからだ。あの「Skype」もエストニア発である。

最もよく知られるのが「電子政府」の取り組みだ。政府がブロックチェーン技術などを駆使し、行政機関や保険会社など企業が保有するデータベースを分散型でつなげ、データの安全性・セキュリティを担保した上で、個人・法人問わず、国民のデータへのアクセスを可能にしている。これにより、国民は一つのIDカードだけで、住民票、保険証、パスポート、運転免許証、キャッシュカード、公共交通機関の電子マネーなど、ありとあらゆる個人認証を済ませることができる。国民のIDを管理する行政にとっても、ペーパーレス化など効率化のメリットは非常に大きい。

もう一つ、特筆すべきは「e-レジデント」の制度だ。これは非エストニア在住の外国人であってもIDとしての住民カードを作ることができ、それさえあればインターネットを通じて、会社設立、銀行口座開設、納税など個人認証が必要なあらゆる手続きが可能となる。

これは、特に欧州への進出を検討している外国の企業、起業家にとって便利な制度で、オフィスを構えたり、人を採用したりすることなく、スモールスタートで事業を始められる。2014年末に開始され、これまで2万人以上が “居住者” として登録している。

こうしたフレキシブルな制度、それを海外に発信する政府による精力的な活動、タリン工科大学などIT人材の育成環境、物価の低さや自然の美しさという住環境としての魅力などの要素が相まって、企業だけでなく、海外の政府、自治体からの注目も高まっているのだ。

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最終更新:6/20(火) 12:10
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