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北方領土空路墓参中止 霧の6月 成果急ぎ裏目

6/20(火) 10:23配信

北海道新聞

「船なら行ける天候だった」

 北方領土国後、択捉両島への初の空路墓参は濃霧のため19日に中止となり、昨年12月の日ロ首脳会談以降、早期実施を目指してきた政府は出ばなをくじかれた。空路墓参は高齢化が進む元島民の負担軽減策として期待されるが、政府が「目に見える成果」(官邸筋)を示すことを急いだ結果、四島周辺が最も霧に覆われやすい時期に。2日間待機した元島民からは「船なら行ける天候だった」と、無情な結果を嘆く声も漏れた。空路墓参実現へ向けたロシア側との再調整は難航する可能性もある。

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 「天候の状況も考えながら、元島民の要望を踏まえ時期も含めて調整していく」。岸信夫外務副大臣は19日、根室管内中標津町でこう述べ、空路墓参実現に向けたロシア側との協議を加速させる考えを強調した。

日本側がねじ込む

 中止となった空路墓参の代替日程の具体的なめどは現時点では立っていない。そもそも日本政府は「元島民の墓参拡充」で合意した昨年12月の首脳会談を踏まえ、4月末の首脳会談前の空路墓参を模索。しかし5月の実施もロシア側と折り合えず、結果的に霧の多い6月中旬の日程となった。

 日本政府筋は「6月が霧の時期だと知っていたが、ドイツで7月に開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合の際の日ロ首脳会談前に実現しようと必死だった。今回の墓参日程は日本側が無理やりねじ込んだ」と明かす。ロシア側は「人道的見地」から空路墓参に応じたが、日本側ほど成果を急いではいない。サハリン州政府関係者は「日ロ外務省レベルでもう一度合意すれば実施できるだろうが、船で行くのが一番いい。航空機は大変だ」と指摘した。

 墓参を含む今年の四島への「ビザなし訪問事業」は、9月中旬まで船舶による渡航日程が決まっている。政府はこれら日程の合間を縫う形で空路墓参の実施を探ることになりそうだ。

北海道新聞

最終更新:6/20(火) 10:48
北海道新聞