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日通・齋藤充社長、物流インフラ「積み降ろし作業にも料金設定を」

6/20(火) 14:34配信

日刊工業新聞電子版

■モノを動かすことに意識が行きすぎていた

 労働力不足が顕在化する物流業界。最大手の日本通運も、荷主から理解や協力を得てビジネスモデルの再考が不可避だ。最新の情報通信技術(ICT)活用や働き方改革を急ぐ必要もある。業界が連携して取り組むべき課題は多く、日通には先導役も期待される。5月1日付で就任した齋藤充社長に今後の物流サービスや労働力不足への対応、業界における連携の可能性を聞いた。

―物流インフラの危機的状況が注目されています。
 「何年も前から危機感を持っている。労働力の確保に悩む一方で長時間労働の是正が求められる二律背反。顧客にも理解、協力してもらいたい。例えば配達や納品の時間を、もう少し詳細に決めると(トラックの)待機時間を減らせる。なんとなく続けてきた契約書に書いていない(積み降ろし作業などの)“無償サービス”にも、顧客側の人的支援や適正な料金設定を願いたい」

―労働力不足の解決策をどう考えますか。
 「一つは労働条件の改善だ。労働に見合った賃金、魅力のある職場、定着する環境づくりが重要だ。かつてトラック運転手は、裁量範囲が広く格好良い職業だった。今はICTで、位置や運行経路が管理されている。効率化や安全のために管理は必要だが、自由度は少ない。若い人は長距離より、自宅から毎日完結できる運行を求めている。そのため(高速道路など)幹線の手前で運転手が交代する仕組みも必要だろう」

―最新技術の活用による物流改善は。
 「IoT、AIなどを活用しないといけない。具体的には高速道路の自動運転、隊列走行だろう。詳細はなかなか決まらないが、2022年の実用化を目指し、物流大手が連携してプラットフォームを作ることが重要だ。最終的には中小の運送事業者も、これにつながる。東名阪(の三大都市圏周辺)にターミナルの建設、対応トラックやシステムなど投資は多額で、国の支援を求めたい」

―モノづくりにおける物流の重要性は高まっています。
 「ビール業界の共同輸送など、競争が熾烈な業種でも物流に対する考え方が変わってきている。運ぶだけでなく一貫して物流を担う“フルアウトソーシング”を提案する。金融子会社を通じて顧客の在庫を一時的に買い取るなどITや金融を取り入れた物流サービスにも力を入れる。陸運だけでなく、陸海空すべての輸送を提供できるように営業も変わらなければならない。東名阪ですべてのモノづくり企業を対象に、アカウントマネジメントを徹底して収益拡大につなげていきたい」

 国内トラック運送事業者約6万3000社のうち99・9%超は中小企業だ。業界の雄として日通は、他の大手とともに道を切り開く責務がある。荷主との協業による生産性改善は緒に就いたばかり。「これまではモノを動かすことに意識が行きすぎていた」と振り返る齋藤社長に、物流の新しい価値創造を期待したい。