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世界に一つだけ 動物園設立の軌跡 岡山・渋川動物公園園長が本出版

6/20(火) 21:04配信

山陽新聞デジタル

 渋川動物公園(岡山県玉野市)の宮本純男園長(79)=同市=が、園を一人で立ち上げた経緯や自身の生い立ちをつづった「世界でたったひとつの動物園 渋川動物公園ができるまで」を自費出版した。「困難があっても強い思いで前に突き進めば、目標を実現できる」とのメッセージを込めている。

 少年時代は動物ざんまいの日々を過ごした。韓国・釜山で生まれ、終戦直後、家族で日本に引き揚げた。食料確保の必要もあって、狩猟や漁に夢中になり、動物の生態を観察した。「動物そのものになって考える」。後に動物を守る立場になるが、考え方は一貫している。

 興陽高校(岡山市南区)を卒業し、農業実習生として2年9カ月間渡米。帰国すると、動物に関わる仕事をしたいと考え、玉野市と岡山市にペットショップを開業した。

 高度経済成長期が終わった30代後半の頃。店に来た子どもが、動かなくなったカブトムシを見て、電池が切れたと泣きついた。アルバイトの面接で大学生がニワトリを4本足で描いた。「さわってみて初めてわかる、動物が生きていること、血がかよっていること」。動物園をつくろうと思ったきっかけだ。

 周囲は、できるはずがないと冷ややかだったが、諦めなかった。ショベルカーを操って山を切り開き、井戸を掘った。土地の購入や融資などの苦労もあった。構想から約10年、1989年3月に開園した。

 コンセプトは「動物のありのままの姿に出会える」。約80種600匹・羽を放し飼いし、自由に触れ合える。目玉の動物はいなくても客一人一人のお気に入りができる。

 園ができるまでの軌跡を、いつか記録に残したいと思っていた。自身は今年10月に80歳となり、園は2018年春で30周年を迎える。二つの節目と3年前に脳血栓を患ったことで踏ん切りがついた。約40時間のインタビューでライターにまとめてもらい、2年半ほどで完成。「好きなことを仕事にし、自分を信じて生きてきた。夢を持つ人の参考になれば」

 A5判、359ページ、2500円。園や県内の書店で購入できる。問い合わせは渋川動物公園(0863―81―3030)。