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生薬でマウスの記憶力改善 富山大和漢研グループ発見

6/20(火) 5:00配信

北日本新聞

■認知症治療に期待

 富山大和漢医薬学総合研究所の神経機能学分野の研究グループは、生薬の「骨砕補(こつさいほ)エキス」を飲むとアルツハイマー型認知症のマウスの記憶が改善することを発見し、作用のメカニズムも突き止めた。この研究の過程で、生薬のどの成分が何に作用して効き目を発揮しているのかを効率よく明らかにする方法も確立した。19日に欧州の薬理学雑誌「Frontiers in Pharmacology」で発表した。

 骨砕補は、シダ植物の一種「ハカマウラボシ」の根茎を用いた生薬。中国では打撲や骨折の痛み改善に効く伝統薬として利用されている。

 博士課程4年の楊志友(ヤンジーヨー)さん(28)、久保山友晴助教(39)、東田(とうだ)千尋教授(50)のグループは、アルツハイマー型認知症のマウスに骨砕補エキスを飲ませると脳内で壊れた神経細胞の突起「軸索」が修復され、記憶が回復することを発見。脳をすりつぶしてエキス由来の成分を探し「ナリンゲニン」など2種類を見つけた。

 ナリンゲニンをマウスに飲ませると記憶が回復し、神経細胞に直接かけると軸索が伸びた。次にナリンゲニンが何に作用するかを調べ、神経細胞中の軸索形成に関わる「CRMP2」というタンパク質と結び付くことを発見。結合によってCRMP2のリン酸化を抑えて軸索を伸ばしていることを実験で証明した。この研究成果は認知症治療への応用が期待されるという。

 生薬は多くの成分を含むため、体に良い効果をもたらす活性化合物を突き止めるのが難しい。従来の研究では生薬の成分を分け、一つずつ活性があるか調べる実験を重ねて絞り込むため手間が掛かった。成分が体内で代謝を受けて変化しないかや、目当ての部位(今回の場合は脳)まで到達できるのかについて検証も必要だった。

 今回の方法は、投薬後に脳にたどり着いた生薬由来の成分を見つけ出し、細胞の何に働き掛けるかを調べることで作用メカニズムの解明につなげた。東田教授は「生薬は、なぜ効くのかという科学的証明が難しかったが、今回の研究は方法論的な突破口になる。国内外に広めたい」と話した。

北日本新聞社

最終更新:6/20(火) 15:58
北日本新聞