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社説[内閣支持率急落]政権の暴走に歯止めを

6/20(火) 7:45配信

沖縄タイムス

 通常国会が閉会したのを受け、週明けの19日、メディア各社の世論調査結果が一斉に公表された。

 共同通信の調査によると、安倍内閣の支持率は44・9%で、前回5月から10・5ポイント急落した。毎日新聞の調査では、不支持率が支持率を上回った。他のメディアの調査でも内閣支持率は軒並み急落している。 

 中選挙区制度の下で派閥が健在だったかつての自民党であれば、党内から猛省を促す声がわき上がり、倒閣運動に発展したかもしれない。

 だが、今や党内の異論はほとんど表に出ない。自民党周辺には「想定の範囲内」という余裕の声さえあるという。各社の調査で依然4割台の支持率を維持しており、野党が政権批判の受け皿になっていないからだ。

 下落した支持率は時間を置けば回復する、と楽観的にみているのかもしれない。特定秘密保護法や安保関連法がそうであったように。

 こうした楽観論は「1強」のおごりにどっぷりとつかった、あまりにも皮相で傲慢(ごうまん)な見方というほかない。

 森友学園をめぐる国有地売却問題、加計(かけ)学園の獣医学部新設問題、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正問題。これらの問題に対する政府の対応に、多くの国民は納得していない。いや、事態はもっと深刻である。

 安倍晋三首相は19日の記者会見で、「政府への不信を招いたことは率直に認めなければならない」と述べた。これまた既視感を強く感じさせる低姿勢だ。

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 国会審議で見せた強権的姿勢と、国会閉会後に見せた低姿勢の隔たりは、あまりにも大きい。

 「共謀罪」法の審議で与党は、運用次第では国民の人権を侵害するおそれがあるにもかかわらず、十分な説明もないのに参院法務委員会の採決を省略し、本会議で採決するという強引な手法をとった。

 少数意見を尊重し言論の府の権威を守るため先人が築き上げた国会の先例が一方的に踏みにじられたのである。

 審議時間を形式的に確保するだけで議論は一向に深まらなかった。

 加計学園問題では、文科省の内部メモを調査もせずに「怪文書」と決めつけ、公表した文科省の元幹部を個人攻撃した。

 国会審議は形骸化し、行政府に対する立法府のチェック機能は失われてしまった。

 安倍首相は会見で「建設的議論からかけ離れた議論に終始した」と国会を振り返ったが、会期中に浮かび上がったのは、数の力を背景にした独善的な対応である。

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 安倍政権は野党に対する敬意がなさ過ぎる。野党の質問に正面から答えようとせず、揶揄(やゆ)したり、見くびったり、はぐらかしたりする姿勢が、特に安倍首相に目立った。

 「政権を支えつつも言うべきことは言う」という政府批判が自民党や公明党の中から出てこなければ、国会はますますチェック機能を失い、劣化するほかないだろう。

 与野党には末期症状の国会を建て直す責任がある。

最終更新:6/20(火) 7:45
沖縄タイムス