ここから本文です

クラウドAI、音声認識スピーカー……カンファレンスにみるLINEの戦略とは

6/21(水) 17:30配信

ZUU online

LINE <3938> のプライベートカンファレンス「LINE CONFERENCE 2017」が開催され、数多くの新商品・サービスが発表された。LINEそのものの大幅なアップデートが発表されたほか、最も大きかったものの一つとして、クラウドAIとそれを利用した音声認識スピーカーも発表された。

■マネタイズ化をさらに進めるLINEのアップデート

LINEそのものの大幅なアップデートが発表された。主にカメラ機能の強化となるが、LINEアプリを使う事により情報共有を他のユーザと行える「Chat App Platform」と称するLINE上のアプリプラットフォームが準備中と発表された。また、Snapchatなどにあるストーリー機能の実装も目指すとしている。また、「LINE NEWS」をポータル化し、そこから「LINE PAY」などのウォレット機能を集約する試みについても発表している。

■大きな目玉はクラウドAIと音声認識スピーカー

今回最も大きかった発表の一つが、クラウドAIとそれを利用した音声認識スピーカーだ。クラウドAIは各社が取り組み始めている大きな動きだが、これにLINEも追従する形となる。「LINE Clova」という名称のサービスは、既に同様のものを展開している他社技術と比較し、発表された範囲内で推測すれば大きく差異のあるものではない。二つのコア部分があり、それぞれ「Clova Interface」、「Clova Brain」としており、インプットとアウトプット部分を切り離して最適化しているとうたうが、これも特に珍しいアプローチではない。

むしろ印象的なのは、それを使う入り口の部分だろう。「LINE Clova」を使う音声認識スピーカー「WAVE」は、クラウドAIの入り口としてはAmazon EchoやGoogle Homeに相当するものである。

またLINEのキャラクターをモチーフにした「CHAMP」というスピーカー(写真)や、ディスプレイが搭載された高機能型の「FACE」も発表されている。クラウドAIを使うためのアプローチとして、これほどの数の製品を出してくるという例は、これまでにない試みだ。

また「Clova」を搭載するデバイスを、LINE以外の企業と共同で開発するという試みも発表されたが、こちらは他のクラウドAIでも展開されている点である。「Clova」と接続するためのアプリ開発キットが提供されるのも同様である。注意が必要なのは、これらはまだ開発段階であり、実際に商品が登場するのは「WAVE」は15,000円前後で今秋以降(機能制限型が夏以降)、「CHAMP」と「FACE」が冬以降と、まだかなりの時間がある点である。

■マイナンバーをキーにした総務省のポータルと提携

今回のカンファレンスで、ある意味最も話題を呼んだのが、マイナンバーを使った行政のワンストップサービス「マイナポータル」とLINEの連携が発表された点である。

マイナポータルはサービスの一例として「子育てワンストップサービス」というキャッチーな内容を謳い、その情報にマイナンバーを利用させるというものである。7月頃に試験運用を開始し、今秋以降に本格稼働を目指すとしている。また一部の電子申請も可能になるとしており、利便性の向上を訴えている。

今回のLINEとの提携は、マイナポータルのLINEの公式アカウントとやりとりをすることで、このマイナポータルへのURLが送られる…というものである。個人情報、特にマイナンバーをLINE上でやりとりし、サーバに蓄積するというものではなく、機能的には特に注目すべき点は無い。しかしこのカンファレンスに現役の内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度)が登壇しており、かなりの注目を集めた。

「LINEではURLを送付するだけ」という極めて限られた機能でしかないにも関わらず、一介の国務大臣がIT企業のプライベートカンファレンスに登場するという点は特異であり、政府のマイナンバー制度に対する意気込みが伺える。もっとも、政府が作るシステムは「カネだけかかって申請実績はごくわずか」というお粗末なものも多いため、マイナンバー制度に対する基本的な信頼度も含めて、LINEというサービスを媒介してどれだけ挽回できるかが注目される。

■LINEの浸透戦略に見えるものと果たすべきもの

カンファレンスで発表されたサービスや商品は、すべて他社で先行してサービスされているもの、もしくは開発がアナウンスされているものであり、繰り返しになるが特に目新しいものは一つもない。

LINEは、これまでコミュニケーションツールを提供する過程で、キャラクタースタンプの販売などで地道にマネタイズ化を進めてきた。そしてそのツールをコアにして、さらにビジネスを拡大しようとしているという点でも他社と変わりはない。

しかし、圧倒的なユーザ数を持つLINEが「入りやすさ」「親しみやすさ」をキーにしてビジネスへの浸透戦略を採れば、大きなインパクトになる事は言うまでもない。トヨタやヤマハ、ファミリーマートといった大きな企業との提携に見られるように、実際に大きな動きを見せ始めている。

LINEに対しては初期のユーザ対応のまずさや、サーバが国外にあるのでは…と言った根強い抵抗感もあるが、膨大なユーザ数を武器にするだけでなく、数多いユーザに対する説明責任もキチンと果たしていく事が、今後のビジネス拡大には不可欠となるだろう。(信濃兼好、メガリスITアライアンス ITコンサルタント)

ZUU online

最終更新:6/21(水) 17:30
ZUU online

チャート

LINE3938
3865円、前日比-40円 - 8/18(金) 15:00