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メガネスーパー、不振脱却への道は「IoT」と「M&A」

6/21(水) 12:52配信

ITmedia ビジネスオンライン

 メガネスーパーが6月20日発表した2017年4月期の連結決算は、売上高が178億9200万円、営業利益が4億2200万円、最終利益は1億1100万円だった。16年4月期までの決算は非連結としていたため単純比較はできないが、前年度からは売上高のみ増加し、営業利益と最終利益は落ち込んだ。

【今後のグループ内の構成】

 ただ、同社の業績は、08年4月期~15年4月期までは最終赤字が続いており、16年4月期に黒字転換したばかり。17年は苦戦したものの、黒字に踏みとどまった形だ。

 同社の業績改善に大きく寄与しているのが、14年6月から推進してきた「アイケア」と呼ぶ戦略だ。アイケアとは、「顧客の目の健康寿命を延ばす」がコンセプトの高付加価値サービス。具体的には、視力だけでなく、生活環境や目の調節力も合わせて測定する「トータルアイ検査」、顔型やサイズを詳細に計測し、顔のゆがみに合わせて眼鏡を調整する「パーフェクトフィッティング」などを提供している。

 色覚に障害がある人に向けた補正レンズや、弱視補正レンズなども充実させ、多岐にわたるニーズに対応できる体制を構築。出張訪問販売や来店予約サービスを開始したほか、目のケア用サプリメントを発売するなど、さらなる収益源の確保にも取り組んでいる。

 星崎尚彦社長は、「一時は『JINS』や『Zoff』などの格安チェーンに顧客が流れたが、『やはり、お金をかけてでも良い眼鏡を作りたい』と考え、当社の高付加価値サービスを魅力に感じてくれる顧客は確実に増えている。今後もこうした層を確実に取り込んでいきたい」と話す。

●持ち株会社を設立、M&AとIoTに活路を見いだす

 業績改善に向け、4年後までの中期計画を策定。21年4月期に売上高286億7000万円、営業利益22億3000万円、最終利益16億3000万円を目指すことを発表した。

 中期計画の軸となるのが、M&A(企業の買収・合併)と、IoT(モノのインターネット)だ。

持ち株会社を設立し、M&Aを加速

 16年4月期の第3四半期からM&Aを本格化。16年12月に富山県の眼鏡チェーン「メガネハウス」を連結子会社にした。現在もアイケア戦略に賛同する同業者を中心に買収先の検討を進めており、収益力の増強に向けて事業基盤の拡大を図っている。

 M&Aをよりスムーズに行うため、持ち株会社制に移行し、「ビジョナリーホールディングス(HD)」を11月1日付で設立する予定。メガネスーパーはJASDAQから上場廃止となるが、ビジョナリーHDが同市場に上場することで、上場を維持する方針だ。

 今後は、買収先の状況に応じて、資本・業務提携、事業譲受、事業承継、店舗承継――など、さまざまなモデルのM&Aを展開するとしている。

 星崎社長は、「現在、アイウェア市場は順調に拡大しているが、地方の眼鏡専門店は苦しんでいる状況だ。持ち株会社化は、M&Aによってこうした企業を迎え入れやすくするための施策」と説明する。

スマートグラス「b.g.」の開発は新会社で継続

 メガネスーパーは5月1日に、IoT(モノのインターネット)事業を担う新会社「Enhanlabo」を立ち上げた。

 Enhanlaboは、これまでメガネスーパーが開発を手掛けてきたウェアラブル端末「b.g.」を事業の中心に据え、現在は同端末のプロトタイプの改良や、共同で実証実験を行うパートナー企業の開拓などを行っている。

 現段階では、機器の点検をハンズフリーで実施できる建設事業者向けソリューションなどを開発。患者の口腔内を拡大して表示する歯科医師向けソリューションなども開発を進めており、19年4月をめどに量産を始める予定だ。

 Enhanlaboの座安剛史社長は、「『b.g.』は、眼鏡店が手掛けた端末として、見え方や掛け心地にもこだわっている。実用化に向け、当社は今後、IoTを推進する企業団体『IoT Partner Community』にも参画する。ウェアラブルデバイスに関する研究会を立ち上げ、他社と意見交換しながら開発を進めたい」と話している。