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「上位から下位まで用意」Qualcommのオーディオ戦略

6/21(水) 18:37配信

EE Times Japan

■オーディオ業界のトレンドの変化を背景に

 Qualcommは2017年6月20日、東京都内で記者説明会を開催し、同社の「Voice & Music」事業について紹介した。Voice & Music事業部は、ワイヤレスヘッドセットやBluetooth対応スピーカー、スマートスピーカー、ホームシアターなどに向けた製品群の開発を手掛けている。

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 Qualcommのシニアバイスプレジデントで、Voice & Music事業部のジェネラルマネジャーを務めるAnthony Murray氏は、近年のオーディオ業界におけるトレンドについて、「消費者がストリーミングで音楽を聞くようになったり、ワイヤレスヘッドフォンやワイヤレスイヤフォンを使うようになってきたりしている。その他にも、イヤフォンジャックがないスマートフォンの発売、ヒアラブルデバイスやボイスコントロールの登場など、オーディオを取り巻く環境が大きく変化している」と語る。

■5つの新しいプラットフォーム

 Qualcommは、こうしたトレンドに対応した機器を開発しやすいよう、5つの新しいプラットフォームを発表した。

 まず、最新のBluetooth SoC(System on Chip)「CSRA68100」だ。Qualcommが提供するBluetooth SoCの中でもトップクラスの「プレミアム」(同社)製品として位置付けるもので、ハイエンドのヘッドセットやスピーカーなどの用途に向ける。最大の特長は、2個のDSP、2個のCPU、2チャンネルのオーディオコーデック、LEDドライバ、チャージャーなど、多くの回路を搭載している点だ。DSPとCPUを1個ずつ搭載した既存の「CSR8675」に比べて、処理性能が約4倍に向上したとする。NAND型フラッシュメモリを内蔵しているタイプと、拡張しやすいように外付けできるタイプの2種類がある。外付けのタイプは、ROMを内蔵している。

 これとは対照的なのが、BluetoothオーディオSoC「QCC3xxx」である。こちらはローエンドからミッドレンジのヘッドセットやスピーカー向けのSoCで、回路をほとんど作り込んでおり、カスタマイズ性が少ないものになっている。「Time-to-Marketの短縮を最優先する機器メーカー向けの製品で、同SoCを使えばすぐにBluetooth対応ヘッドセット、スピーカーを開発できるようになっている」(Murray氏)

■スマートスピーカを容易に実現できるプラットフォーム

 「WHS9420」「WHS9410」は、USB Type-Cの接続に対応したオーディオSoCだ。Murray氏は「USB Type-Cコネクターを搭載するモバイル機器は増えている。こうした機器で高音質を提供できるようにするためのチップだ」と説明した。ハイエンド品のWHS9420は、ANC(Active Noise Cancel)に対応し、最大で192kHz/24ビットのハイレゾ(High Resolution)音源をサポートする。

 デジタルアンプIC「DDFA(Direct Digital Feedback Amplifier)」の次世代品も紹介した。DDFAは、Qualcommの子会社であるQualcomm Global Tradingが2015年8月に買収したCSRが開発した技術を基にしている。20Hz~20kHzにおけるTHD+N(全高調波歪み率+雑音)が0.002%以下と、極めて低いことが特長だ。

 「Smart Audio Platform」は、スマートスピーカー向けの設計プラットフォームだ。QualcommのSoC「APQ8009」または「APQ8017」上で動作する複数のソフトウェアをそろえていることが特長となっている。具体的には、音声UI(User Interface)、音声アシスタント、音楽ストリーミング、VoIP(Voice over IP)などの機能を実現するためのソフトウェア群だ。Murray氏は、「従来、スピーカーやサウンドバー、ネットワークオーディオの機器は、全く異なる部品で構成されていた。近年は、サウンドバーにネットワークオーディオの機能が内蔵されるなど、ユースケースの境目が曖昧になってきている。つまり、機器を柔軟に設計できるプラットフォームが必要になる」と説明する。

■「上から下まで」そろえる

 Murray氏は、「オーディオ市場向け製品の戦略は、ローエンドからハイエンドまでの製品ポートフォリオをそろえることだ」と強調する。Qualcommは、スマートフォン向けのSoC「Snapdragon」でもローエンドからハイエンドまで幅広い品種を提供しているが、オーディオ向け製品群でも同様の戦略を採る。「顧客の開発効率を上げ、Time-to-Marketを短縮することが一番の目的である。エントリーレベルの機器からハイエンド機器の設計に移行する際もスムーズにいくよう、あらゆるレベルの製品を1つのプラットフォーム上にそろえておきたい」(同氏)

最終更新:6/21(水) 18:37
EE Times Japan