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質の高い糖尿病患者データを健康サービスに生かそう!

6/21(水) 17:50配信

ニュースイッチ

自己管理意識を高める

 IoT(モノのインターネット)技術が進展し、さまざまな製品やサービスが連携し、情報のやりとりができるようになってきた。ヘルスケア分野においても、経済産業省が中心となり、企業保険者が持つ個人の健康や医療情報を活用し、行動変容を促す仕組みづくりが本格化してきた。

 経済産業省は2017年度から、約2000人を対象に健康データの収集に乗り出す。ウェアラブル端末から情報を取得し、糖尿病軽症者を対象に重症化予防や改善を図る実証研究を行う。

 「基礎的なアルゴリズムを構築しながら、いずれは医療分野での使用に耐えられるAIを構築したい」―。経済産業省ヘルスケア産業課の江崎禎英課長は、将来的な構想を語る。

 質の高いデータを収集・活用することで、良質な健康関連サービスの開発や普及にも弾みが付く。

 毎日の糖尿病管理を七福神が伴走―。愛知県健康づくり振興事業団が代表団体となり、名古屋大学、日本オラクル、オムロンヘルスケアなど企業や大学でつくるコンソーシアム「チーム七福神」は、独自のアプリを開発し、糖尿病の診断指標である「HbA1c」が改善するかどうかを調べた。
糖尿病、自己管理意識を高める

 その際に、「糖尿病患者の歩数や体重、血圧等のデータを取得し、七福神キャラクターを通じて応援メッセージを発信した」(愛知県健康づくり振興事業団)という。

 実験では、「HbA1c」が6・5以上の軽症者に対し、食事や運動などに関する注意喚起を行った。その際に「七福神」からの応援メッセージなどを配信し、参加者のモチベーションアップにつなげた。

 結果、たとえば実験期間中投薬の状態に変化が無かった対象者では、事業開始時に「6・99」だった数値が3カ月後に「6・43」へ改善するなど成果があった。

 ウェアラブル端末等から取得した歩数や体重、血圧などを自動的にスマートフォンに転送するなど、本人が健康関連データをセルフモニタリングできることに加えて、1人1人の状態に応じたメッセージが届くことは、本人の自己管理意識を高め、行動変容を図る効果が期待できる。

 一方で、「IoTの活用による自己管理の仕組みは、どういった人に効果的なのか」に関する科学的なエビデンスを蓄積していくためには、継続的な実証も必要になりそうだ。

 たとえば対象者の職種や職場環境、通勤手段、介入の内容やタイミングなどの情報を追加して集められれば、活動量や行動傾向を詳細に分析することが期待できる。今後はどのようにして産業界に普及させるかが成功へのカギとなりそうだ。

METI Journal

最終更新:6/21(水) 17:51
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