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50万円のA&ultima SP1000は真のフラッグシッププレーヤーだ!・1

6/21(水) 12:30配信

Stereo Sound ONLINE

 音楽とオーディオをこよなく愛するライター・伊藤隆剛さんによる、アステル&ケルンのデジタルオーディオプレーヤー(DAP)、A&ultima SP1000レビュー。このページではその1をお届けする。(Stereo Sound ONLINE編集部)



 発売前のA&ultima SP1000 Stainless Steelを、自宅で試す機会をもらった。“世界最高峰のハイエンドポータブルプレーヤー”という謳い文句が伊達ではないことがその佇まいや音からビシバシ伝わってくる、極上の数日間だった。

 この連載では、4月にAK380のボディ違い3モデル(レギュラーモデルのジュラルミン/Copper/Stainless Steel)を取り上げたばかりだが、アステル&ケルンの不動のフラッグシップと思われたAK380シリーズのさらに上を目指しつつ、ブランド第4世代の扉を開いたモデルがこのSP1000ということになる。

 「“A&ultima”ってナニ?」とか、製品の成り立ちや仕様については下記リンクのニュース記事をチェックいただくとして、ここでは実際に聴いた音のインプレッションを中心に、その極上ぶりを紹介したい。


■サウンドステージのデカさ、時間軸のオンタイム感に驚愕!

 フィットイヤーのカスタムIEM(Private223)に、PWオーディオのリケーブル(No.5 JP ver. FitEar 2.5mm balanced)を組み合わせて、2.5mmバランス接続で音を聴いてみると、まず驚かされるのがサウンドステージのデカさと時間軸のオンタイム感だ。アステル&ケルンとしては初採用の旭化成エレクトロニクス最新DACチップ「AK4497EQ」(デュアル配置)の持ち味に、低ジッター&高精度なVCXOクロック(電圧制御水晶発振器)や高出力化したアンプといった諸要素が絡み合い、AK380シリーズとは一線を画する表現力を身につけている。

 最初に試聴したのはノンサッチ・レコードからリリースされたばかりのシアトルのグループ、フリート・フォクシーズのアルバム『Crack-Up』(96kHz/24bit/FLAC)。リヴァーブをたっぷり含んだヴォーカルとアコースティック・ギターに、緻密なコーラスや多彩な弦楽器やリズム・セクション、謎めいたサウンド・エフェクトなどが重なる万華鏡のようなアシッド・フォーク作品で、カットアップ的な手法により次々と展開する曲調を小気味よく聴かせる。

 先述の“サウンドステージのデカさと時間軸のオンタイム感”は、ヴォーカルやギターのリヴァーブがモタつくことなく音像にぴったりと付帯しながら動き回る冒頭の組曲「I Am All That I Need/Arroyo Seco/Thumbprint Scar」から明らかだ。ともすれば箱庭的にまとまってしまいそうなトリッキーなサウンドメイキングを、大きなキャンバスの上にくっきりと描き出す。

 同じステンレス素材を筐体に使っていることもあって、音像のテイストはAK380 SSに通じるクール&ソリッド系だが、情報量が多くて緻密でスキがない中に程よいウォーム&マイルド感も持ち合わせているので、聴き疲れしない。

 AK380では限定モデル扱いだったSSとCopperをレギュラーモデルとして採用するにあたり、より聴きやすい方向にチューニングされたのかもしれない。音の研ぎ澄まし具合が、なんとも絶妙だ。

 今回は2種類のうち、SSモデルしか聴くことができなかったが、追って発売されるというCopperモデルも早く聴いてみたいところだ。

(その2・DSD試聴&評価編へつづく)

【伊藤隆剛(いとうりゅうごう)】
広く深い音楽の知識だけでなく、オーディオ面でのこだわりにも定評のあるマルチライター。月刊『HiVi』編集者時代に多くの経験を積み、オーディオの魔力に開眼

Stereo Sound ONLINE / 伊藤隆剛

最終更新:6/21(水) 12:30
Stereo Sound ONLINE