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キャリア官僚から35歳で政治の道に むつ市長がニューヨーク総領事館で学んだこと

6/21(水) 19:35配信

AbemaTIMES

(C)AbemaTV

 青森県北東部の下北半島に位置し、人口約6万人が暮らす、むつ市。日本で初めてひらがなで市名を表記した町でもある。郷土料理はホタテの貝殻を鍋代わりにして、イカ、エビなどの食材に味噌や溶き卵を入れて煮込む「みそかやき」だ。海に囲まれたこの土地ならではの絶品グルメだ。

 そんなむつ市で活躍するのが、宮下宗一郎市長だ。1979年にむつ市で生まれ、東北大学法学部を卒業後、国土交通省に入省した。35歳で政治の道に入り、市長選では過去最多となる2万1844票を獲得し初当選を果たした。

 宮下市長は今、市民を悩ませる問題の解決に奔走している。近年話題となっている、「空き家問題」だ。。平成25年の総務省・住宅・土地統計調査によれば、市内の家屋2万8560軒のうち、1146軒が空き家になっており、壊れかかっている危険な空き家が街のいたる所にあるのだ。

 建物の崩壊、火災や犯罪の温床となる恐れもある空き家だが、そう簡単に撤去することはできない。「どんなに古く見えても、所有者の財産。だから簡単には手をつけられない。また、撤去するのには400万円くらいかかる。国から半分出たとしても、200万は市が出さなきゃいけない。我々にとって、200万円は非常に大きい」。

 そこで宮下市長は、権利問題が解消している空き店舗や家をリノベーションし、市民の憩いの場として再利用を始めた。「空き家と言っても、様々なバリエーションがある。むしろチャンスが広がっているんじゃないかと思う」。

 こうした発想は、海外経験で身につけたものだという。

 33歳で国土交通省から外務省に出向し、約2年間、ニューヨークの日本国総領事館に赴任した。「特にアメリカがそうだと思うが、ものすごく自主性を重んじる。市民協働の中で問題を解決していく。そういう仕組みを考えていかなきゃいけないんじゃないかなと学んだ」。

 住民の3割以上が高齢者になる中、余分な予算や人手を使うことなく可能なアイデアを宮下市長は打ち出した。

 宮下市長が訪れた「青森ヤクルト販売株式会社むつ営業所」の従業員たちは配達の際に高齢者への声かけに心がけており、迷子の高齢者を見つけた場合は自宅に送り届けるなど、高齢者のサポート活動に市民共同で取り組んでいる。大久保貴美子所長は「宮下市長は本当にざっくばらんにオープンに話してきて、私たちの意見を受け入れてくれる。本当にむつ市、変わっていくなと思います」と手応えを語る。市では様々な企業に事業への協力を呼びかけ、認定証を交付している。

 斬新な政策を進めていくことについて宮下視聴は「市長には巻き込んでいく力が求められていると思う。皆さんと直接お話しすることで、自分の考えをダイレクトに伝える。そのことによって、皆さんが認定を受けただけではなく、“もう少し頑張ろう、もう少しできるんじゃないか“、そういう気持ちになってくれるが大事だと思う」と話す。

 現場に足を運び、会議や視察、街のプロモーション活動と分刻みのスケジュールをこなしている。時間はいくらあっても足りない。任期は残り1年、やるべきことはまだまだある。

 中学校の同窓会では「商売目線で見れば、観光客が来て、空き家があるとか、そういうのってイメージよくないよな、むつ市にとって。俺はそれ本当に感じる」「高齢者だらけ」「(高齢者が多いことは)日本全国しょうがないことだから、みんなで支えていかなければいけない」と街の将来を憂う声も聞こえてくる。宮下市長は「高齢者をどう見守っていくか、若い人たちにどうやって来てもらうか。色んな工夫をしながらみんなで取り組んでいかなければ」と話す。

 むつ市を再生させる切り札として、宮下市長が目下力を入れているのが、街のコンパクト化だ。体育館やイベント広場を建設、市民の健康促進やレクリエーション、スポーツ交流を通じて人を集め、地域活性化を考えている。また、診療所や病院、幼稚園、小学校といった公共施設を集約し、利便性を高めることでその周囲で暮らす住民を増やし、街の中心部に人々が集まるコンパクトな街作りを目指している。

 「新しい産業や仕事の種を作っていく、UIJターンの受け皿を作っていく、街が新しくここを中心に発展していく、そういうイメージを描いています」と将来の展望を語る宮下市長。「子どもたちがこの街に生まれて育ったということを誇りに思ってもらえるような、そういう街にしたい。みんながワクワクしながら街について語る。そういうことが地域をブランド化していく第一歩だと思う。そういうことができるようにしていきたいと思っている」と力を込めた。

最終更新:6/21(水) 19:35
AbemaTIMES