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TWEEDEES「世代格差が武器」価値観の相違から生まれる新たな音楽/インタビュー

6/21(水) 14:10配信

MusicVoice

 元Cymbalsの沖井礼二と、清浦夏実によるロックバンドのTWEEDEESが21日に、ミニアルバム『a la mode』をリリースする。2015年に結成され、同年3月にアルバム『The Sound Sounds.』でメジャーデビュー。翌年7月には2ndアルバム『The Second Time Around』をリリースし、今作は初となるミニアルバムとなる。ユニークな転調やリズムが詰め込まれながらも、キャッチーなメロディがポップな一面を担うバランスの取れた作品。彼らの活動は、メンバー2人の間にある、約20の年齢差というジェネレーションギャップに向き合うところから始まったのだという。現代社会で失われがちな、その「世代を超えたコミュニケーション」という物が彼らの大きな武器になっている。これは将来の社会モデルとも言えそうだ。そんな彼らの創作や、新譜、最近考えている事についてなど話を聞いた。

※「a la mode」頭文字の「a」は正しくはアクサン・グラーヴアクセント符号付き

ジェネレーションギャップは驚きの源泉

――このユニットが結成される経緯についてお伺いしてもいいですか?

沖井礼二 僕はCymbalsというバンドをやっていて、彼女はソロで歌っていました。出会った時には、既にお互いの音楽を聴いたことがありました。僕のライブに彼女が遊びに来てくれて、その時に彼女のCDを貰って。その音源は聴いたことがあったのですが、彼女が歌っているとは知らなかった。それで、聴いてみたら「あの曲の人だったんだ!」という驚きを覚えて。その日のうちに連絡を取って、メールとかスカイプで話しても波長が合うので、知り合って翌日くらいにバンドを組みました(笑)。

清浦夏実 割とひらめきのあるファーストコンタクトでしたよね。私も沖井さんがやっている音楽が凄く好きでした。私は楽曲提供を受けて活動していたので「これは絶対挨拶して、あわよくば曲を作ってもらおう」と思っていました(笑)。そしたら朝までその日に飲んで…まさかバンドを組むとは。

沖井礼二 僕も2003年Cymbalsを解散してから、一緒にできる女性シンガーを探していました。それで色々な人を見たり聴いたりしました。上手だったり、綺麗な人というのは世の中に沢山いる。でも、バンドを組みたいと思う程、ピンと来た人はそれまでいなかったですね。もう諦めようかと思っていました。僕は作編曲家ではありますが、TWEEDEESを始めてから、身に染みてわかったことは自分がバンドマンという事でした。だから、そういう人を意識的に、若しくは無意識的にも探していたのでしょうね。

清浦夏実 私はバンドを組んだのはこれが初めてです。ましてや音楽を始めるのも、流れでやってきた様な人生なので、自主的に何かを始めるのもTWEEDEESが初めてという。ゼロからのスタートでしたね。

――バンド名の由来は?

沖井礼二 洋服の生地のツイードからです。「Tweedy」という言葉の中に「リラックスした」とかトラディショナルな意味があるし、気合いれてやるよりはそちらの方が良いだろうと。それから“e”が沢山あって格好良いとか。普通なら“Tweedy”になるのですが「TWEEDEES」にしたらエゴサーチしても我々しか挙がってこないので。

 Cymbalsでも、それ以降でもバンドをやったりはしていて。それなりに自分も経験を得て「こういう風にやればバンドは上手くいくんだよ」くらいのつもりだったのですが、いざTWEEDEESを始めてみると、やはりゼロからのスタートですよ。バンドというのは生き物みたいなもの。僕ら2人でバンドというよりも、「TWEEDEESというものがあって、それを育てていくのが我々2人」というところがある。それが求める事をやっていかなければいけない、という意味で予測がつかないところもあったりして。子育てみたいなものですね。意外と経験って役に立たないなと。

清浦夏実 子育て方針で相当ぶつかったりもします(笑)。

沖井礼二 最初は僕も「こういう風にやれば良いんだよ」という感じで言おうかなと思っていたのですが、彼女は「沖井さん、正直それ古いです」と平気で言う(笑)。

清浦夏実 「全然わかってくれない」とか思いながら(笑)。ジェネレーションギャップしかなかったです。沖井さんがまずこれを聴きなさい、あれを聴きなさいと、英才教育をしてくれて。それに対して割と取捨選択をしていたら、結構傷つけてしまったみたいで(笑)。もちろん「良いな」と思うものもありますし、聴き方がわからないものもあって、ストレートに「古い」と言ってしまいました。

沖井礼二 当時は混乱しましたね。段々わかってくるのですが、ポップスというものは10代・20代の若い人の物じゃないですか。つまり僕がどれだけ「これが良いよ」と言っても彼女が良いと思わなければ、良くはないわけですよ。だから、まずは彼女が良いと思うものを作らなければ、事は始まらないなと。やっている内にわかってくる事もある。

清浦夏実 逆に最近私が気になっている物とかを沖井さんに教えたり、という事もしました。

沖井礼二 僕がおすすめするものは60年代のものから、21世紀のものまであるのですが、その中で予想しなかった反応を彼女がする時があります。「何でこれに食いつくんだろう?」みたいな。で、それを並べてみるとなんとなく共通項が見え始めてきて。彼女の世代が僕の聴き方とは違う聴き方をしている事に気づきましたね。

清浦夏実 沖井さんに教えて貰った中でよかったのは、The RAH Band(80年代イギリスのバンド)とかですね。可愛い感じがしました。

沖井礼二 それもわからなくもないのだけど、「そこに反応するのか」と思いました(笑)。それから60年代のモータウンに食いついてみたりとか。他にも色々。彼女から紹介してもらったものでは、シンリズム君とかTomgggとかですね。彼らは多分、僕らの世代がレコード屋で探していた様な感じじゃなくて、YouTubeでばっと捕まえてくる。彼らの音楽は、ジャンルで上手く言えないのですが、ポップにできていて、僕らでは思いつかない様な物。キラキラしていて人工感もありながら、可愛いところもある。方法論は違うけど、僕がポップスという物に思い描いていたものを「若い人が高い完成度で作っている」と知らしめられましたね。とても勉強になりました。

――ある種のジェネレーションギャップを埋める所から始まったと?

沖井礼二 埋めようとはしなかったですね。

清浦夏実 もはや理解できないかも(笑)。

沖井礼二 「理解し合えない」という事を、理解し合ったみたいな感じです。でもそのジェネレーションギャップが「驚きの源泉なんだ」という事をお互いにわかったので、それを逆に利用しようというところはあるかもしれません。

清浦夏実 これは他のバンドにはない強みだと思います。

沖井礼二 楽曲作りはお互いの作ったメロディを広げていって、というのもありますが、ワードで連想していく方法もあります。今回のミニアルバムで言えば「悪い大人のワルツ」という曲があるのですが、「『悪い大人のワルツ』というタイトルを思いついたので、ワルツを書いてください」と彼女からメールが来て。それで、「ワルツを書くかどうかは別として『悪い大人のワルツ』というワードは凄く格好良いな」と。結果的に3拍子系の楽曲を書きました。

清浦夏実 なので曲先というのもあるしワード先というのもある。テーマとかトピックとか。

沖井礼二 そうだね。ワード先は結構多いし、好きだよね。1stアルバムでも「『あなたにはがっかり』という曲で始めようぜ」という話もしていましたし。その時は僕が提案したんですけど。タイトルとかワードがあると、そこには背景とか風景を想像するじゃないですか。そこにBGMを付けるのが多分好きなのでしょうね。言葉に対してのサウンドトラックみたいな。

――お2人のユニットですが、ライブは基本バンドセットなのでしょうか?

沖井礼二 基本的にバンド編成でやっています。

清浦夏実 サポートメンバーも入れて。

沖井礼二 会場の関係とかで色々な形態があるのですが、今一番多いのはドラム、鍵盤、僕がベースとボーカルの4人編成ですね。それで大音量みたいな。少し前はもう1人鍵盤とギターが入ったり。

清浦夏実 サポートメンバーは沖井さんと私が昔からお世話になっている人の混合バンドみたいになっていますね。

沖井礼二 ライブにジェネレーションギャップとか、美意識の違いは感じていませんね。

清浦夏実 作品を作る段階で、美意識みたいなものの折り合いはついているので。そこをどうライブのアレンジとして膨らませていけるか、凝縮していけるかという作業をしています。いかんせん、TWEEDEESの曲は難しいなと私は思いながらやっています。

沖井礼二 プレイヤーの全員が難しいですからね。

清浦夏実 なので皆一生懸命やっています(笑)。

沖井礼二 1番最初にライブをやった時は事前に5時間のリハーサルを12、13回やりましたね。でも、出来る様になればリハの回数も減りますしね。それはどのバンドでも同じだと思います。ただ、皆初めてやる曲じゃないですか。作った僕らも初めてやる曲です。TWEEDEESがどうなっていくのかというのは、やってみないとわからないという感じはありました。譜面を渡してすぐできるような曲じゃないです。決まり事も多いし。そこは苦労しましたね。

――お客さんの反応はいかがでしたか?

沖井礼二 どうなのでしょう。我々としても「これがTWEEDEESです」と、とにかく力一杯やる以外はない訳です。以前の僕や、清浦の活動というものを追いかけていて、思っていた物と違うと思った人もいたかもしれませんね。「別物だけど、よかった」という人も勿論いたと思います。でもこちらには直接感想が入ってこないですからね。もちろんエゴサーチはしますが。ツイッターとかだとネガティブな意見はあまり返ってこないから(笑)。

清浦夏実 お客さんに対して何を思うかというのはあまりなくて。始めて3年になりますが、それぞれの元々やっていた活動とTWEEDEESは違うものになってきているのだというのは徐々に理解して貰えているのかな、というのも感じていますね。

沖井礼二 Cymbalsを知らなかったりとか、清浦のソロ活動を知らなかったファンも結構増えてきています。それは望ましい事でもあるのですが。大学生くらいの子が意外と増えてきていてありがたいですね。一番聴いて欲しいのはそれくらいなので。

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最終更新:6/21(水) 14:10
MusicVoice