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ミサイル防衛、「見える化」転換の防衛省 北朝鮮の発射で高まる不安、公開訓練で「国民に安心してもらう」

6/23(金) 7:05配信

withnews

 放物線を描いて飛んでくる弾道ミサイルを撃ち落とすミサイル防衛。北朝鮮が発射し続ける中、「国民の安心感の醸成に寄与する」(稲田朋美防衛相)という狙いで、防衛省が対応策の「見える化」を進めています。その一環として4年ぶりに公開訓練をしたので、早速取材に行ってきました。(朝日新聞政治部専門記者・藤田直央)

【写真特集】「ランチャー上昇!」 4年ぶりに公開のPAC3訓練、発射機やレーダーを写真で

PAC3訓練、4年ぶりの公開

 東京都心から約20キロ、埼玉県にまたがる陸上自衛隊朝霞駐屯地。夏至の6月21日午前6時すぎ、川越街道に面した門の前に報道陣のカメラが並ぶ中、灰緑の大型車両が続々と到着しました。航空自衛隊でミサイル防衛を担う部隊が、地対空誘導弾PAC3やレーダーなどを搬入したのです。

 音速を軽く超えて落ちてくる弾道ミサイルの軌道を捉えて迎撃できるよう、素早く装備を配置し、起動する訓練が、小雨のなか始まりました。

「ランチャー上昇!」駐屯地に響く声

 PAC3を積んだ車両は速度を上げて駐屯地のグラウンドへ滑り込み、取材スペースの前で停止。隊員4人が操作や確認に動き回ります。荷台から4本の足が地面に伸びて固定され、「ランチャー上昇!」という女性隊員の声が響き、発射機が40度ほど上を向きました。

 もちろん訓練ではミサイルを撃ちませんでした。実際に弾道ミサイルを迎撃するときは、遠隔操作で発射されます。通信機器を背負った隊員が準備完了を連絡すると、4人は走って退避しました。

 そこから300メートルほどの駐車場に、レーダーや射撃管制など他の車両が集結しました。PAC3に近いと危険ですが通信も必要なので、適度に離れています。電源車からや互いの通信のためのケーブル接続、装備の起動――。「確認」「クリア」などと隊員10数人が声をかけ合います。

 レーダーが警戒音を鳴らしながら一回転して準備が整うと、隊員らはやはり退避。「戦場なので当然の行動です」と、報道陣に付き添った空自関係者が説明しました。

異例の公開訓練、狙いは「見える化」

 きびきびした訓練でしたが、実はこの朝霞駐屯地は、車両で運んできた装備がある最寄りの空自入間基地(埼玉県)から15キロあります。早朝の実施は通勤時間帯などの渋滞を避けるためでもありました。

 北朝鮮が予告したうえで弾道ミサイルを撃つケースはまれです。迎撃の装備を離れた所から運んでいて、間に合うのか、という疑問がわきます。「本丸」の防衛省(東京都新宿区)の敷地内には、昨年8月に空自習志野分屯基地(千葉県)から運ばれたPAC3がずっと置かれています。

 今回の公開訓練について、防衛省の担当者は「自衛隊の即応能力を見せて国民に安心してもらうためです。いわばミサイル防衛の『見える化』です」と説明します。

 PAC3は北海道から沖縄まで空自の17部隊が2基ずつ持ち、2007年の配備以来、即応能力を保つため訓練を重ねています。ただ、これまでは「手の内はさらせない」として、実施したかどうかすら、個別にはほとんど明かしてきませんでした。今回のような報道陣への全面公開は10年の新宿御苑、12年の葛西臨海公園(いずれも東京都)、13年の万博記念公園(大阪府)の3例だけです。

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最終更新:6/23(金) 7:05
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