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私たちはネットの「デマ」や「フェイクニュース」とどう付き合うべきか

6/22(木) 7:10配信

ITmedia NEWS

 先日、ラジオを聴いていたらちょっと耳に残る曲がありました。ケイティ・ペリーさんが歌う「Chained To The Rhythm」です。

【画像:フェイクニュースへの対抗策】

 その一節を直訳すると、「周りのトラブルが見えない泡の中にいて、あなたは快適?」――ムムッと思って調べると、やはりこれは、ネットの“とある問題”を指しているようでした。今回はそのとある問題にクローズアップしてみます。

 最近、ネットを騒がせているものの1つに「フェイクニュース」があります。デマでもジョークでもなく、「悪意を持って、読んだ人を扇動するために作られたニュース」で、SNSの発達と共に存在が無視できないものになりつつあります。

 フェイクニュースは、人間の奥底にある願望や偏見、先入観をハックする仕組みだと私は考えています。そのため、フェイクニュースが事実か虚構かは無関係に、「思わずシェアしたくなる」という誘惑に打ち勝たなければなりません。

 一般の人にフェイクニュースを見分ける力を付けるのは本当に難しいので、今回はその存在を「感じる」ということに注力してみましょう。

●“それっぽいニュース”をうのみにしない

 その昔、掲示板で何か新情報が書かれると、「ソース(情報源)は?」と聞かれたものでした。それに対して情報源が書かれれば、ある程度の正しさが保証され、そうでなければうそであるとされた時代です。

 時は今。皆さんもおそらくこの「ソースは?」というやりとりを、SNS上で見ることがあるでしょう。しかし、そのソースとして、単にURLが返されただけで満足していませんでしょうか。問題は、そのURLで示された情報が、本当に正しいものなのかということも吟味しなくてはならないということです。

 今では、ネット上に情報を残すことも簡単になりました。ソースとして示されたURLが、ニュースサイト然とした、しっかりしたデザインのメディアに掲載されていたとしても、情報の正しさとは関係がありません。

 最近は、世論を醸成するため、“ニュースサイトらしい”デザインを用い、いかにも真実っぽいうそ情報を提供する事例が出始めています。このようなニュースは、いかにもあやふやな情報であるにもかかわらず、「タイトルが扇情的」だったり、「あからさまにそれっぽい写真」があったりと、いかにもすぐに信じてしまいそうな内容で、思わずピクッとシェアしてしまうわけです。

 このように、「悪意があり、裏に意図があるうそ情報」のようなニュース以外にも、「悪意も意図もないが、結果的にうそである情報」が掲載される場合もあり、これらの誤った情報がデマの温床になることもあります。

 残念ながら、これらの情報の真偽を、普通の人が判断することは難しいです。特に今は、見栄えを簡単に盛ることもできますし、テレビや書籍で発信することのハードルも低くなりつつあります。それを前提として、「情報にはある程度の曖昧さが存在する」ことを知っておく必要があるのではないかと思います。

 この感覚を知ることは難しいと思いますが、もしあなたが何らかの趣味を持っていて、「この分野なら人に負けない!」と考える分野があれば、それを論じている記事をチェックしてみるといいでしょう。

 単純な表記間違い、ごく狭い意見がまるで全体の意見のように書かれている、海外の状況を知らないなど、それが多くの人に向けたメディアであればあるほど、「まだまだ浅いな」と思えることが多いでしょう。

 これは著者の力不足もあるでしょうが、「全ての記事は著者の専門外のことが少しずつ含まれており、その部分に曖昧さが残る」と考えた方が良さそうです。

●「不確かな情報は、シェアしない」という態度

 自分の趣味の分野なら、「情報の不確かさ」を感じることができるかもしれません。しかし、専門外の分野では難しいでしょう。“悪意のある”フェイクニュースを見分けるどころか、“悪意のない”間違いな情報すら、私たちは見抜けないはずです。

 そこで、次に私たちが心構えとして考えるべきは、「不確かな情報はシェアしない」ということです。もちろん、自分の趣味の分野でどんぴしゃりな情報があれば、どんどんシェアすべきでしょう。

 でも、そこに少しでも不確かさがあると感じたら、グッと我慢すべき時代が来たのではないかと私は思います。フェイクニュースも、「シェアされて初めて成功」ですから、その過程を断つことが重要です。

 特に、それが「シェアしたくなるような内容」であればあるほど、グッと我慢すること。例えばTwitterに画像が4枚ついていて、ぱっと見てワッと思う的な脊髄反射系ニュースは、あなたがシェアしなくても誰かがシェアしてしまうでしょう。あなたが加担する必要はないはずです。

 そして、もしそこまで人を引きつける、センセーショナルなニュースだったとしたら、必ず「大手メディア」が取り上げるはずです。大手メディアの中には多数の目があります。

 個人よりは、フェイクニュース判別に強い組織が出した情報ならば、より確かなものであるはずです(もちろん、大手メディアがフェイクニュースを意図的に出す可能性も否定できませんが)。

 ネットの記事だけでなく、全ての情報に対して身構えること。もしかしたらフェイクニュースかも? と感じることが、重要になったのかもしれません。フェイクニュースに立ち向かうFacebookは、「フェイクニュースに対抗する10カ条」を掲載しています。まだ日本語訳されていませんが、簡単に訳してみました。ぜひ、読んでみてください。

・ヘッドライン/タイトルは疑ってかかるべし
・URLをよく見るべし
・その記事に書かれた情報源を調査すべし
・記事の見た目、レイアウトをよくチェックすべし
・写真情報はよく考えて受け取るべし
・日付を見直すべし
・証拠をよく見るべし
・他のサイトが取り上げていないか見るべし
・ジョークと分かる部分はないかチェックすべし
・故意にうそを書く人がいることを理解すべし

●「心地いい情報」だけに囲まれるのは危険?

 さて、これであなたの“耐フェイクニュース力”も、ほんの少しだけ上がったのではないかと思います。自分で区別を付けることはできなくても、「フェイクニュースは存在する」ということさえ感じていただければ、大きな一歩であるはずです。

 次の問題は、よりフェイクニュースに強くなること。フェイクニュースの拡散にはSNSが使われるため、「あやふやな情報をシェアする人」を封じ込めることが対策の1つになります。より具体的には、あやふやな情報をシェアする人を「ミュートする」ということになりますが、実はここにも課題があります。

 ある意味、このような「自分に合わない情報を出す人を見えなくする」ことを無意識に続けると、あなたのSNSは「自分にとって心地いい情報だけが集まる場」になります。イメージとしては、「周りがイエスマンしかいなくなったワンマン社長の会社」です。

 実はこれも、フェイクニュースがまん延する理由の1つです。そのような心地いい環境に、もしあなたが真偽を区別できない、偽の情報が回ってきたら……。信頼する人からシェアされていれば、あなたはそれをあっさりと信じてしまうでしょう。

 このような状況を、無意識に作られた情報のフィルターに包まれているという様子から「フィルターバブル」と呼びます。これも、今のSNSにおける大きな課題の1つです。私はこれまで問答無用でミュートをし続けていましたが、最近はあえて「ノイズを残して緊張感をちょっとだけ残す」ことも必要かもしれないと思い始めています。

 この「フィルターバブル」も、フェイクニュース同様、簡単な解決策は見つかりません。しかし、SNSにおける課題がこのように可視化されたのは、理解の第一歩だと思っています。

 偽の情報を見分ける力を付けることも重要ですが、これは生半可な知識では不可能です。そのため、まずは「フェイクニュース」と「フィルターバブル」という言葉から、自分のSNSの状況を見直してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

最終更新:6/22(木) 7:10
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