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高さは60階建てビル相当の岩頂の宮殿遺跡に登る 寂しげな後姿と雄大な景色

6/28(水) 14:10配信

THE PAGE

 シギリア・ロックは高さにして60階建てビル相当。幾度にも連なる急な階段を実際に登ってみると、よくもこんなところに宮殿など建てられたものだと感心してしまう。山と湖、草原に森と、岩頂から四方に広がるその雄大な景色には思わず息をのむ。

フォトジャーナル<スリランカの旅>- 高橋邦典 第47回

 朽ち果て、今はわずかな土台と階段を残すのみとなってしまったが、こんな絶景に囲まれて暮らす毎日は格別なものだったに違いない。

 遺跡の上を歩いていると、突然の雨に見舞われた。

 木陰に入って雨宿りをしていると、少し離れた遺跡の端で若いカップルが言い争い始めた。痴話喧嘩だろうか、野次馬根性で眺めていると、女が大きな声で何かを叫んだ。すると男は、何も言い返すことなく、女を残して岩頂から降りていってしまった。女はただ座り込み、泣きながら降り続ける雨に身を任せた。

 そんな時、雲の切れ目からすっと光が差し込んできた。遠くの湖が陽の光を受けてキラキラと輝きだす。

 この美しい眺めを、彼女はどんな気持ちで見ているのだろう? それとも悲しみのあまり目に入ってこないだろうか。彼らの喧嘩の理由を僕は知る由もない。もし見えているのなら、彼女はこの景色を一生忘れることはないだろう。

(2016年1月撮影)

※この記事はTHE PAGEの写真家・高橋邦典氏による連載「フォト・ジャーナル<スリランカの旅>」の一部を抜粋したものです。

最終更新:7/3(月) 6:12
THE PAGE