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東京電力がIoT住宅の“プラットフォーマー”へ、ソニー発AIベンチャーの技術がカギに

6/22(木) 7:10配信

スマートジャパン

 東京電力パワーグリッド(以下、東電PG)と大和ハウスグループの大和リビングマネジメントは、IoT(Internet of Things)を活用した住宅向けエネルギーマネジメントシステムの構築に向け、実証実験に着手する。電力の使用状況に応じて家電製品を自動制御し、エネルギーを効率運用できるシステムの開発を目指す。

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 実証実験は大和リビングマネジメントがサブリース事業を展開する関東および関西の賃貸住宅50戸を対象に、2017年8月1日~10月の期間実施する計画だ。対象の住宅内には電気の使用状況から家電製品の種類ごとの利用情報が抽出可能な電力センサーと、住宅内の温度や湿度などを測定する環境センサー付きのマルチリモコンを設置する。

 東電PGは、専用の電力センサーから得られる電気の使用状況を用い、電気使用量を予測する分析アルゴリズムを持ったIoTプラットフォームの開発に取り組む。大和リビングマネジメントは、東電PGが提供する電気の使用状況ならびに分析アルゴリズム結果や、環境センサー付マルチリモコンから得られる温度や湿度などの情報を、同社が提携しているIoTプラットフォーム「plusbenlly(プラスベンリー)」に取り込み、エアコンなどの家電製品を自動で運用・制御する機能の開発を目指す。

 両社はこれら2つのプラットフォームの連携により、家電製品を自動で運用・制御するノウハウに加え、各プラットフォームの有効性も検証する。その後、賃貸物件への本格導入についての検証を進める方針だ。

 将来は音声認識端末を連携させ、音声による家電製品のコントロールや、快適な睡眠環境の実現に向け、電気の使用状況などから得られた情報に基づき、生活リズムを生かした家電製品の自動運用・制御についての実験や検討も行う予定としている。大和リビングマネジメントは環境に配慮した住環境の提供や家賃と光熱費をセットにした賃貸モデルを実現するための方策も検討する。

技術のカギを握る、ソニー発のベンチャー企業と提携

 東電PGは大和リビングマネジメントとの実証実験と同時に、ベンチャー企業であるインフォメティスとの業務提携も発表。提携の目的は住宅内の電気の使用状況などの情報を収集・蓄積・加工できるIoTプラットフォームを利用したサービスの開発だ。

 インフォメティスは2013年にソニーからスピンアウトしたAI(人工知能)ベンチャー企業で、「機器分離推定技術」という独自技術を強みとしている。これは先述した実証実験で利用している「電気の使用状況から家電製品の種類ごとの利用情報が抽出可能な電力センサー」に生かされている。

 東電PGは、2016年11月7日~2017年3月31日までの間、日立製作所とパナソニックと共同で、IoTプラットフォームの構築を目的に、約100戸の住宅を対象に実証実験を行った。その中で、インフォメティスと共同で家電製品別に電気使用の変化をリアルタイムに検知するための電力センサーや、機器分離推定技術についての有効性を確認したという。

 今回の提携はこうした成果を受けたもので、今後は電力センサーから得られる電気の使用状況に関する情報を、提携するサービス事業者のニーズに応じて分析・加工するアルゴリズムの開発や、温度や湿度などを検知する環境センサーなど、電気の使用状況以外の情報を得るセンサーを東電PGのIoTプラットフォームに連携できるようにする。

 東電PGはこのIoTプラットフォームを、さまざまなサービス事業者にも提供する方針。サービス事業者にとっては、このプラットフォームを活用することで、東電PGのスケールメリットを生かした広いユーザーをターゲットにすることが可能になるとしている。

 具体的には、家電製品ごとの電気の使用状況や、それらを加工した電気の使用量予測、在宅状況などの情報を利用し、電気の使用状況から家電製品を自動制御する住宅向けサービスや、見守り・安否確認などのセキュリティーサービスなどを、2018年以降に提供することを目指すとしている。