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それでも緩やかな円安を予想するワケ~マーケット・カルテ7月号

6/22(木) 18:50配信

ZUU online

ドルの上値が重い状況が続いている。FRBは6月半ばのFOMCにおいて利上げを実施するとともに、今後の金融引き締めにも前向きな姿勢を示したが、市場の反応は鈍く、足元のドル円は111円台前半と6月月初並みの水準に留まっている。米経済指標に弱さが目立ち、市場が先々の金融引き締めに対して懐疑的であるためだ。

市場では、円高予想派が増えている印象だが、筆者はこれまで同様、緩やかな円安予想を維持する。確かに米経済指標には弱いものが目立つが、過度の悲観が織り込まれているとみられるためだ。FRBが年内に資産縮小開始に加えて1回の利上げを、来年はさらに3回の利上げを見込んでいる(FOMCメンバーの中心値)のに対し、市場(FF金利先物)の織り込みは、年内・来年ともに1回に満たない。また、米10年国債先物では、足元で買い越しポジションが約10年ぶりの水準にまで積み上がっている。米国経済が劇的に好転するとはみていないが、堅調な雇用情勢を起点として持ち直しが見えてくることでFRBの金融引き締め観測が高まり、米金利上昇を通じてドル円に上昇圧力がかかるだろう。3ヵ月後の水準は113円程度と見込んでいる。

ユーロ円は、今月に入り、123円から125円程度での一進一退の展開が続いており、足元も124円台前半にある。今後もECBの出口が意識されることがユーロの下支えとなるが、既に織り込みが進んでいるテーマであるうえ、出口開始は当分先の話であることから、ユーロの上値は重くなりそうだ。3ヵ月後の水準も現状並みと見込んでいる。

長期金利は、米長期金利が低迷を続けていることもあり、0.0%台半ば付近で安定した推移を辿り、足元も0.06%付近にある。今後は既述のとおり米金利の上昇が予想される。日銀の長短金利操作のもと、日本の長期金利の上昇余地は限られるが、米金利上昇の波及により、わずかに上昇するとみている。(執筆時点:2017/6/22)

上野剛志(うえの つよし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 シニアエコノミスト

最終更新:6/22(木) 18:50
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