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あるぞ夢の9秒台!23日開幕日本選手権を占う…桐生と山県の争い、多田の伸びしろ

6/22(木) 6:04配信

デイリースポーツ

 「陸上・日本選手権」(23日開幕、ヤンマースタジアム長居)

 陸上の世界選手権(8月・ロンドン)の代表選考会を兼ねた日本選手権は23~25日に大阪市で行われる。注目は日本人初の9秒台の期待もかかる男子100メートル。リオデジャネイロ五輪男子400メートルリレーで銀メダルを獲得した桐生祥秀(21)=東洋大、山県亮太(25)=セイコーホールディングス、ケンブリッジ飛鳥(24)=ナイキ=に加え、10日の日本学生個人選手権で追い風参考(4・5メートル)ながら国内レース日本人初の9秒台となる9秒94を出した多田修平(20)=関学大=という新星も出現。史上最高レベルの日本人最速決戦を占う。

【写真】関学大・多田 9秒94に掲示板を思わず二度見

 この一年のレース内容を見れば、実質的には桐生と山県の争いだ。ともに向かい風の条件下でも10秒0台をマークしており、条件さえ整えば、いつでも9秒台を出せる力は持っている。

 現状で優勝に最も近いのは桐生。今季は10秒0台を3回マークしており、4月の織田記念では向かい風の条件下での日本記録となる10秒04をたたき出した。オフに04年アテネ五輪男子ハンマー投げ金メダリスト、室伏広治氏の下で新たな体幹トレーニングも取り入れ、安定感はグッと増した。

 桐生に立ちはだかるのは、“桐生キラー”ともいえる山県だ。通算対戦成績は桐生4勝、山県6勝で、山県が度重なるケガから完全復活した16年以降では桐生の1勝に対して、山県は5勝と大きくリードしている。決勝や一発勝負の対決では、すべて山県が先着している。

 世界屈指のスタート力を誇る山県に先手を奪われ、桐生が持ち味の中盤から後半の伸びを欠く場面が目立つ。序盤を五分で飛び出し、得意の中盤で勝負をつけたい。

 もっとも、3月に右足首を痛めた山県は3カ月ぶりの実戦となるのがネック。直前の練習では「85~90%まできた」と話したが、本番までに状態を上げられるかが鍵だ。一方で、ロンドン、リオデジャネイロと2度の五輪でそれぞれ日本人の五輪最速記録を塗り替えるなど大一番の強さはピカイチ。10秒00の日本記録を持つ日本陸連の伊東浩司強化委員長は「ケガのない前提で、一番力があるのは山県」と評する。

 追い風参考ながら9秒94のタイムで強烈なインパクトを残した多田は伸びしろが魅力だ。桐生、山県とは総合力で差があるものの、持ち前のスタートが決まれば、代表権をつかみ取る力は秘めている。

 連覇を狙うケンブリッジは、今季は本来の後半の爆発力が影を潜める。ただ、昨年の日本選手権や、リオデジャネイロ五輪400メートルリレー決勝における、100メートル、200メートル世界記録保持者ウサイン・ボルト(ジャマイカ)との競り合いなど大舞台で力を発揮するタイプ。雨が降った昨年のような悪条件になれば再現もある。

 桐生、山県、ケンブリッジ、多田は世界選手権の参加標準記録(10秒12)を突破済みで、3つしかない世界選手権の代表枠を争うサバイバルレース。史上最高のメンバーがそろったガチンコレースが、夢の公認9秒台を生む可能性は十分にある。