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バーガーキングを救った36歳 ー 巨大チェーンを立て直したダニエル・シュワルツの正体

6/22(木) 7:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

ダニエル・シュワルツ(Daniel Schwartz)ー 彼はアメリカ・ウォール街の出世コースを10年間走り続けた後、自分のスキルを別の世界で試したいと心に決める。新たな道は、投資銀行で働くトレーダーでもなければ、ファンドマネージャーでもない。マイアミのバーガーキングでハンバーガーを作り、店のトイレを掃除することだ。

【画像】バーガーキングの親会社レストラン・ブランズ・インターナショナルのCEO、ダニエル・シュワルツ氏

ハンバーガー作りからトイレ掃除まで、自分の仕事の出来は「とにかくひどかった」と、シュワルツ氏は当時を振り返る。「アイスクリームは、どうしてもきれいに作ることができなかった」

投資銀行のアナリストから転身したプライベート・エクイティ(投資ファンド)業界の風雲児は32歳で、世界第2位のハンバーガー・チェーン、バーガー・キングの最高経営責任者(CEO)に指名された。

自身をミレニアル世代の1人だと言うシュワルツ氏は、それまで飲食店で働いたこともなければ、会社経営の経験もなかった。

シュワルツ氏が直面したのは厳しい現実だった。2ケタ成長を遂げていたチポトレ(メキシカン料理のチェーン)やパネラ(ベーカリー・カフェレストランのチェーン)とは対照的で、バーガーキングの当時の売上はほとんど横ばいだった。

シャツの袖をまくり、バーガーキングのキッチンに立ったシュワルツ氏は考え込んだ。彼は数カ月にわたって本社オフィスと現場で働いた。店舗では客の注文を取り、ハンバーガーを作り、店のトイレとフロアを掃除した。

6月9日、CEO就任後初のメディア・インタビューとして、シュワルツ氏は、Business Insiderの取材に応じた。店舗での勤務体験から大きな学び、いわば「テイクアウト(お持ち帰り)」があったと話すシュワルツ氏は、「当時のバーガーキングのメニューはめちゃくちゃだった」と言う。

複雑なメニュー

「メニューが複雑で分かりにくかった。どのソースをどのバーガーにつけて、トッピングはどれに乗せるのか。提供するメニューを正確に作る作業に悪影響が出ていたし、無駄が多かった」

シュワルツ氏がCEOとして初めに取りかかったのは、メニューの簡素化だ。何十種類ものメニューを少なくする一方、新商品の選考プロセスを厳格化した。さらに経営幹部たちの特典を廃止するなど、経費削減で大なたを振るった。これは同氏がパートナーを務めるプライベート・エクイティ会社、3Gキャピタル(3G Capital)が得意とするところだ。

海外市場では、ブラジルや中国、ロシアのレストラン運営会社と契約の協議を行い、世界のバーガーキングの店舗数の拡大をリードした。実際に、店舗数は4年間で21%増加し1万6768店舗となった。何年も停滞していた既存店売り上げも増加した。

2014年、3Gキャピタルはカナダのドーナツ&コーヒーチェーン「ティムホートンズ(Tim Horton’s)」を買収。バーガーキングとティムホートンズを管理する新しい企業、「レストラン・ブランズ・インターナショナル(Restaurant Brands International, RBI)」が生まれた。シュワルツ氏はRBIのCEOに就いた。RBIは今年、ポパイズ・ルイジアナ・キッチン(Popeyes Louisiana Kitchen)を18億ドルで買収し、事業ポートフォリオを拡大した。

シュワルツ氏がCEO就任した際、約90億ドル(約9900億円)だったバーガーキングの企業価値は、今では270億ドル(市場調査会社ユーロモニター調べ)に達している。世界のファストフードチェーン市場で、同社は第3位のシェアを有している。株価も上がった。昨年の上昇率は35%を超えた。

現在36歳のシュワルツ氏。年間600万ドル以上を稼ぐ、グローバル企業のトップである。

シュワルツ氏はニューヨーク州ロングアイランドで育った。大学に入学するまでは、父親と同じ道をたどり歯科医師になるか、叔父のように医師になろうと考えていた。高校時代はバスケットボールに熱中する一方、数学の家庭教師の仕事に夢中になった。地元の新聞に広告も載せ、本格的に数学を教えた。

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