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「アメリカファースト」 食事は ファスト? 肥満大国 悪化? 「高カロリー」続々 学給の栄養基準規制緩和 トランプ大統領

6/22(木) 7:01配信

日本農業新聞

 トランプ米大統領は、今年1月の就任以来、オバマ色が濃い政策「遺産」の一掃を進めている。その一つがミッシェル・オバマ前大統領夫人が主導した学校給食の改善だ。米国社会が直面する深刻な肥満。その根源を絶ちきろうと、「レッツ・ムーブ(さあ行動しよう)」の運動を2010年2月に政府主導で呼び掛け始まったが、政権交代で早くも姿を消した。

ピザは週2、3回 食育どこ吹く風

 パーデュー農務長官は就任直後の5月にバージニア州の小学校を訪問し、オバマ時代に導入した給食の栄養基準規制の緩和を宣言した。

 この規制には生鮮青果物の提供、全粒穀物パンや低脂肪乳の義務付けや食塩制限などが盛り込まれていた。米国では規制に沿った給食を提供すると、連邦政府が補助をするという仕組みになっている。ミッシェル夫人が熱心にレッツ・ムーブ運動を国民に呼び掛ける姿は、メディアでもたびたび報じられた。

 だが、同長官は「(栄養基準規制は)子どもたちや学校関係者から評判が悪い。子どもたちが食べなければ給食は無駄になる」として、食材の選択を州や学校など現場の裁量に委ねることにした。ホワイトハウスのウェブサイトにあったレッツ・ムーブのコーナーは、1月中旬からお蔵入りとなった。

 農務省のウェブサイトでは「もう一度給食を偉大にする」という長官の発言を大きく紹介している。炭酸飲料大手メーカーやファストフード業界などが支援する給食専門家団体の一つは、パーデュー長官の決断を直ちに歓迎した。

 米メディアによると、そもそもトランプ氏はジャンクフードが大好き。同政権は規制緩和に加え、同省予算の大幅削減方針を表明しており、オバマ政権の時に比べ、同省の肥満防止政策が後退することは明らかだ。

 インターネット上で紹介されているバージニア州バージニアビーチ市の小学校の給食には、週5回のうち2、3回ピザが登場する。

 毎週水曜日は、ドミノピザ、チーズバーガー、ヨーグルト220グラムとふすまのスナック、サンドイッチの中から一つ選択し、副菜として野菜サラダなど3種類から二つを選ぶ。

 他の日も、メインはハンバーガーやスパゲティー、ホットドッグなど高カロリーなメニュー。副菜にかろうじて野菜サラダなどが出るものの、メインにピザのようなメニューばかり選んだ子どもは、カロリー過多になることは想像できる。

 米国は先進国で構成する経済協力開発機構(OECD)加盟国で、もっとも肥満率が高い。食習慣と密接に関わる糖尿病や高血圧などの生活習慣病は米社会が抱える大きな問題だ。

 近畿大学農学部の上嶋繁教授は、こうした米国の肥満の背景に、子ども時代の食生活が関連していると見ている。

 「米国の学校給食は、量が多く、高脂肪で食物繊維が少ない。糖分を大量に含むソフトドリンクなどを摂取することが、その後の食習慣に影響して肥満に結び付いている可能性が大きい」

 インターネット上では、ハンバーガーやピザにポテトフライなどの米国内の給食の写真が、面白おかしく紹介されている。「他国と比べ見劣りしている」という批判もあふれる。ミッシェル・前大統領夫人が給食改善の旗を振ったものの、大きくブレーキがかかったと地元メディアは報じる。

 上嶋教授によると「日本の給食は、子どもの成育に合わせ栄養面を設計する仕組み。それがうまく機能している」と言う。ご飯や地元の青果物を組み合わせるメニューも各地で広がる。OECDの調査で日本の肥満比率が低くとどまる背景には、こうした学校給食の違いもありそうだ。(山田優特別編集委員)

日本農業新聞

最終更新:6/22(木) 7:01
日本農業新聞