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「豊洲移転と築地再開発は両立する」上山信一・都顧問独占インタビュー

6/22(木) 21:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

6月23日の東京都議選告示を控え、小池百合子都知事が20日、築地市場(東京都中央区)を豊洲(江東区)に移転したうえで、築地を再開発し、5年後をめどに食をテーマとした拠点とする方針を表明した。豊洲をどう活用し、築地の将来像をどう描いているのか。都議選の論点を含め、都の顧問を務める上山信一・慶応大総合政策学部教授に聞いた。

【画像】東京都顧問の上山信一氏は豊洲への移転は「一時的」と語る。

豊洲は「一時移転・暫定利用」

ー 知事の判断は、玉虫色だとの声があります。

今朝(21日付け)の新聞の見出しは、「豊洲移転、築地再開発」となっていて、豊洲に行ったきりという印象を受けますが、豊洲に「一時移転・暫定利用」と言うのが正しい。

私は市場問題PT(プロジェクトチーム)には参加していませんが、都政改革本部で市場事業の「見える化」改革を担当し、全庁的視点で市場事業の全体を評価する立場です。大阪府市の卸売市場事業の改革にも関与してきたので、今日は個人としての感想をお話しします。

今回の案は土地需要の旺盛な東京らしい妙案です。しかし、築地からいったん豊洲に行って5年後に戻り、そこで食のテーマパークを併設する計画作り、同時に豊洲を物流センターに転用する計画作りは、いずれも民間企業との協業が必要で難易度は高い。都庁に構想力とチャレンジ精神が必要です。

ー築地を卸売市場として使い続けることを優先し、豊洲も活用していくと。

卸売市場は、下水処理や美術館のように一施設の中で全機能が完結しません。また上流から下流までさまざまな機能があります。

最上流は産地から大型トラックが入ってくる巨大な物流センター機能です。次は卸と仲卸のせりと取引。その次は卸が仲卸業者に荷物を積み替える。仲卸業者は、買い付けに来る小売店ややすし屋など買参人に売る。その手前で商品を小分け包装し、加工する作業もある。

これだけいろいろな機能が場内に全部あるとは限らないし、複数に分散することもままある。一般的には、上流機能は湾岸地区の豊洲に、下流機能は都心に近い築地に向いている。でも豊洲は、これらを全部場内に入れてしまう完結モデル型の市場です。

ところが、全国の卸売市場にはいろいろな形態がある。大阪府のような上流の物流機能中心のもあれば、京都の錦や上野のアメ横、築地の場外のような川下の販売中心のもある。どこに立地し、どんな業者がいて何が得意か、そしてあとは経済性、いろいろな要因で決まる。

今回の豊洲移転の問題点は、巨額の赤字を永久に垂れ流すという問題もさることながら、川下の仲卸が弱ってしまうことでした。寿司屋が買いに行くのに、豊洲と築地では往復で1時間違うのでもっと早起きしないといけない。買参人と仲卸業者の多くにとっては築地の方がいい。豊洲は遠くて商売が成り立ちにくいと廃業を考える人もいたようです。

あと築地ブランド。そして、そのすごさを突き詰めると、仲卸業者と買参人の目利き力とやり取りです。仲卸業者が目利きの力で卸売業者から商品を買ってきて、その目利きパワーで店に商品を並べる。買いに来る寿司職人も目利きのパワーで勝負する。プロとプロの対決で相場が形成され、新商品のニーズも生まれる。日本の魚の文化は、ここで磨かれています。

だから食文化と築地ブランドの源泉は築地の仲卸にある。これが豊洲に行くと衰退しかねない。だから築地は立地として守るべきで、それでブランドも維持される。

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最終更新:6/22(木) 21:10
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