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兵庫・西宮で独自造形を追求、田嶋悦子展

6/22(木) 16:00配信

Lmaga.jp

1980年代から陶オブジェ作品を制作し、国内外で高い評価を受けている田嶋悦子。彼女の初期作品から最新作までを紹介する個展が、「西宮市大谷記念美術館」(兵庫県西 宮市)で7月30日まで開催されています。

【写真】田嶋悦子《RECORDS》(部分) 2017年 陶、ガラス(ガラスパーツ制作:西川宏太) サイズ可変 作家蔵

田嶋作品の特徴は、植物を連想させる有機的なフォルムと、陶とガラスの併用です。その典型は、1990年代以降の代表的なシリーズで、ギリシャ神話の豊穣の神から命名した《CORNUCOPIA(コルヌコピア)》。同作を初めて見た人は、「これは陶芸なのか?」と疑問を抱くかもしれません。しかし田嶋は言います。「陶芸の主な構成要素は土と釉薬で、釉薬とガラスは成分がほぼ共通しています。割れた陶器の断面を見てもらえれば、やきものが土とガラスで出来ていることが分かると思います」。陶とガラスから成る田嶋の作品は、見た目こそ独創的ですが、陶芸の本質をしっかりと捉えているのです。

会場には15点の作品が並んでいます。「たった15点?」と思うかもしれませんが、巨大なオブジェやインスタレーションが多いので、決して物足りなさはありません。それらの中で筆者が特に注目してほしいのは、初期を代表する作品《HIP ISLAND》(1987年)と、最新作《RECORDS》(2017年)です。《HIP ISLAND》は数100のパーツから成る巨大な作品で、全体が金、赤、黄などの鮮やかな色彩に包まれています。その爆発的なエネルギーと解放感は、様々なジャンルで新たなムーブメントが次々に発生した1980年代の空気を体現しているかのようです。

《RECORDS》は、作品の表面に転写されたアサガオの葉が特徴です。「縄文土器の展覧会に出かけた時、幼子の手形や足形を刻印した土器のお守りを見て、陶芸で記憶を表現できることに気付きました」と田嶋。細かな葉脈までくっきりと写し取られた同作が醸し出す爽やかな情感は、田嶋の新たな方向性を示した代表作と言えるでしょう。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

最終更新:6/22(木) 16:00
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