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県条例改正で規制強化へ カメラ向ければ「盗撮」 悪質行為に対応

6/22(木) 0:28配信

北日本新聞

 盗撮目的なら、スマホを人に向けた時点でアウト-。これまで盗撮容疑で摘発できなかった悪質な行為に対処するため、県迷惑防止条例の改正案が県議会で審議されている。撮影に至らなくても、カメラをトイレに隠し置いたり、人に向けたりする“前段行為”も広く盗撮犯として規制する。全国的な流れだが、他県では条例の一部分が一人歩きし、乱用を心配する声がネット上で上がったことも。専門家は厳格な運用を求める。 (社会部・高嶋昭英)

 盗撮に関する現行の条例には「撮影すること」が禁止行為として明記されている。逆に言えば、撮影が完了しなければ、明らかに盗撮目的の行動でも「盗撮犯」として規制するのは難しかった。

 県警生活安全企画課によると、公共空間のトイレに隠しカメラを設置しても、被害者がいなければ建造物侵入容疑のみの摘発となるケースが多い。また、スカート内にカメラを差し入れても、直前に気付かれたり、操作を誤ったりして撮影できなかった場合、差し入れ行為は盗撮容疑ではなく、条例の別の禁止規定である「卑わいな言動」をした容疑になるという。

 スマートフォンや高性能の小型カメラの登場などを背景に、悪質な事件が相次ぐ中、近年は盗撮の規制を強化する条例改正が全国的に進む。これまで10以上の都府県で改正が行われ、富山県警も9月の施行を目指す。

 県警によると、改正案では他県と同様、下着などを盗撮する目的で撮影機器を「人に向ける行為」や「設置する行為」を禁止規定に追加する。盗撮の禁止場所も、従来の「公共の場所・乗り物」に加え、会社や学校、タクシーなどにも範囲を広げる。

 ただ、他県では改正を巡って「人に向ける行為」という文言が一人歩きし、ネット上で「スマホやカメラを他人に向けただけで犯罪になるのか」といった書き込みが広がり、警察が火消しに追われた。盗撮は刑法に規定はなく、各県の条例で規制するため、改正のニュースが出るたびに議論が起きるようだ。21日の富山県議会予算特別委員会でも、一部議員から不安視する質問があった。

 同課は「単純にカメラを向けただけで処罰対象になることはあり得ない。通常の写真撮影を規制する意図はない」とする。捜査に当たっては、防犯カメラや目撃者の話など客観的な証拠を集め、盗撮目的か判断するという。

 富山大経済学部の八百章嘉准教授(刑事訴訟法)は、ネット上の議論について「迷惑防止条例は日常生活に密接に関わる。スマホやカメラは誰もが持ち、意図とは関係なく人に向けることもあるため、敏感に反応してしまうのだろう」。一方、条例改正によって処罰範囲が広がることから「不当な干渉につながらないよう、適正な運用が求められる」と指摘する。

北日本新聞社

最終更新:6/22(木) 0:28
北日本新聞