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ERC:第4戦キプロスは堅実に徹したアル-アティヤが前戦の雪辱を晴らす今季初V

6/22(木) 17:09配信

オートスポーツweb

 ERCヨーロッパ・ラリー選手権の第4戦は風光明媚な地中海を望む島国キプロスが舞台。6月16~18日に行われたこのラフグラベル戦を、中東の英雄と呼ばれるオールラウンド・ラリードライバー、ナッサー・アル-アティヤ(フォード・フィエスタR5)が制し、前戦のリベンジを果たすERC今季初勝利を挙げた。

【写真】パンクがありながらも、SSを走りきったナッサー・アル-アティヤ

 厳しいグラベル・イベントとして名を馳せるキプロスのステージは、初日から波乱が続出。シリーズのフロントランナーたちが続々とステージの罠にはまるなか、前戦をトラブルで落としていたアル-アティヤは、デイ1の全8SSを堅実に走破。

 キプロス北部に設定され、国連バッファゾーンに位置する4.15kmの最終SS8『CNPアスファルティカ・スーパースペシャル』でも、彼のオートテック・モータースポーツ・フォード・フィエスタR5はトップタイムをマークし、計5つのSSでベストを刻み初日首位に立った。

 2度の王座獲得経験を持つPWRCプロダクションカー世界ラリー選手権クラスや、中東ラリー選手権などで同イベントを4度制し、キプロス勝利数であのセバスチャン・ローブに並んでいたアル-アティヤは、その記録更新にも王手をかけた。

「実は14.41kmのSS7で、スタートから4km地点のところでパンクに見舞われた。でも、ペースを抑えてそれをマネジメントすれば、このステージに勝てると(コドライバーの)マシュー(・ボーメル)に言ったんだ」と、初日ニコシアのサービスパーク帰還後に振り返ったアル-アティヤ。

「今日のライバルたちの状況を見ても分かる通り、これは本当に難しくて厳しいラリーだから、最後までリスクを排除して堅実に戦う必要があるんだ」

 そのアル-アティヤの言葉どおり、SS1でトップタイムをマークしたのは前戦同様ロシアのスピードスター、アレクセイ・グリアシン(シュコダ・ファビアR5)。

 そのアクロポリスでは、トップタイム記録直後の爆発炎上でチャンスを失ったこのティーンエイジャーは、このキプロスではキャンセルとなったSS2に続くSS3でディッチに捕まりハードなコースオフ。マシンは数回転したのちコース上にランディングしたものの、このアクシデントでラリーリーダーの座を明け渡すこととなってしまう。



 また、選手権ポイントリーダーとして挑んだベテラン・ポルトガル人、ブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)は、序盤のステージでパンクに見舞われたカストロール・フォード・チーム・ターキーのムラット・ボスタンキ(フォード・フィエスタR5)のマシンにコース上で追いついてしまい、砂塵の中を視界を奪われた状態で走行。ペースが上がらない状況に追い込まれていた。

 そして“魔のスペシャルステージ”となったのが18.42kmのSS6。スタートから約4km地点の切り立ったバンクがそびえる右コーナーで、そのマガラエスと、ボスタンキ、そして前戦アクロポリス勝者で2016年王者でもあるカエタン・カエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)が、次々とクラッシュ。すべてのクルーは無傷だったものの、カエタノビッチのマシンを除いて修復不可能なほどのダメージを負い、ERCレギュラー勢が初日から続々と姿を消すこととなった。

 これで楽な展開となったアル-アティヤは、翌日デイ2の全6SSではマシンを労わりペースマネジメントに徹してクリア。前日のリタイアからスーパーラリー規定で再出走を果たしたグリアシンやカエタノビッチがSSベストタイムを分け合うなか、総額1万ユーロ(約125万円)の懸賞金が掛かった最終6.17kmの“ゴールデン・ステージ”のみ、カエタノビッチを0.3秒しのぎ、きっちりとトップタイムをマーク。これでアル-アティヤが、大会新記録となる通算5勝目を挙げた。

「僕らの成功に秘密はない。ただ最善の努力をしただけだ。少しばかり幸運を持っていたと言えるかもしれないが、過去の経験が今回の成績を手助けしたかもしれないね」とアル-アティヤ。

 2位以下トップ10圏内には地元キプロスのドライバーたちが名を連ねるなか、5位にはERCをシリーズで追うドイツ侯爵家のアルバート・フォン・タクシス王子が入り、元GTドライバー、そして実業家という肩書きに、ERCフロントランナーの実績を加えることとなった。

 ERCの次戦、第5戦はポーランドの首都クラクフから東に150kmの都市ジェシュフを中心に開催されるターマック戦が舞台。例年、地元のカエタノビッチが得意とする、ウクライナとスロバキアの国境付近に設定されたステージで、8月3~5日に争われる。



[オートスポーツweb ]