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吉祥寺のオーダーメイド傘専門店「イイダ傘店」の店主が語る、「世界でただ一つ」の傘への思い

6/22(木) 7:02配信

SUUMOジャーナル

日本列島は梅雨真っただ中。この時期になると、電車内などに置き捨てられたビニール傘をよく見かける。そうした大量生産・大量廃棄される傘がある一方で、一つひとつオーダーメイドで傘をつくる「傘専門店」が注目を集めている。吉祥寺にアトリエを構える「イイダ傘店」だ。なぜオーダーメイドの傘をつくろうと思ったのか。店主のイイダヨシヒサさんにお話を伺った。

■素材の特徴を生かしたデザインで一躍人気に

美術大学時代、テキスタイル(布地・織物)デザインを専攻していたイイダさん。周りの友人は主に衣類に使うための布を制作していたが、イイダさんが選んだのは「傘」。それが現在の仕事へとつながっているという。テキスタイルデザインを原点とするものづくりは、一般的なプロダクトデザインのアプローチとはまるで異なると、イイダさんは話す。

「一般的なデザイナーは“狙って”カワイイ柄やオシャレな柄を作りますよね。まずはデザインありきで、そのために必要な素材をチョイスしていく。でも僕の場合は逆で、素材の風合いや染め方、織り方からインスピレーションを受けてデザインしています。たとえば、亀の柄の傘があるんですが、これには『ほぐし織り』と呼ばれる伝統技法から着想を得ています。この技法を使うと生地が屏風の絵のように渋くなるのですが、それと亀の甲羅の風合いが頭の中で結びつき、こういったデザインになりました」(イイダさん、以下同)

素材は一つとして同じものはなく、それぞれ染め方、織り方、材質が異なる。つまり、それらの組み合わせの数だけデザインの可能性が広がるというわけだ。

また、オーダーメイドというだけあって、お客さんの好みやキャラクターなども考慮してデザインしているのだとか。世界でただ一つの傘の評判は口コミで少しずつ広がり、現在では女性を中心に幅広い世代から注文が入るという。

■長く使い続けたくなる傘になる理由

学生時代から傘をつくり続け、ほどなくして友人からオーダーを受けるようになったことで、徐々にそれが本業へとシフトしていったというイイダさん。職人歴は10年以上。現在では会社を設立し、スタッフも増えたが、当初と変わらず一本ずつ手づくりすることにこだわっている。

「例えば店を構えて、大量につくれば儲かるのかもしれませんが、それだと普通のメーカーと変わりません。『直接オーダーを受け、傘を作り、直接渡す』ことに楽しさがあるんです。誰が使うか分からないまま千本の傘をつくるのとは、モチベーションが違うと思います。一本一本にちゃんとつくる意味を感じられるからこそ今でも楽しいと思える。だから、そこは大事にしていきたいですよね」

今の時代、傘は100円ショップでも手に入る。ビニール傘ももちろん便利であり、優れた一本の傘だが、自分で生地を選び、サイズを決めて一本一本仕立ててもらった傘を差すときの喜びは、また一味違うはずだ。使い込んでいくうちに骨が折れてしまったり、ボタンが取れてしまっても、修理をして使い続けることができる一生モノの傘。コスト的にも、使い捨ての傘を紛失しては何度も購入するくらいなら、長く大事にできる傘をひとつ持つほうが安上がりかもしれない。

なお、傘のオーダーは毎年2シーズン(3月~5月と9月~11月)、吉祥寺にある工房1階や、全国を回る展示イベントの会場で行われる「オーダー会」で受付している。さらに期間中は数日のみウェブサイトでもオーダーを受けるそうだ。傘が届くのはオーダーから約半年後だが、ワクワクしながら待つのも楽しみの一つだろう。

また、「オーダー会」のシーズン以外では各地でイベントも行っており、数量限定で現品販売もしている。

単に目新しさだけでなく、長く愛着を持って使ってもらえるようにと丹精込めてつくられたイイダさんの傘。ちなみに、価格相場は3万円程度のものが多いが、生地によっても変わるという。

折しも梅雨真っただ中。こんな傘があれば、雨の日のおでかけも楽しくなりそうだ。来年の梅雨に向けて、今から検討してみてもよいかもしれない。

-今後の展示販売会情報-(2017年)
6月3日~6月27日(大分・別府/スピカ)
6月14日~8月14日(東京・六本木/スーベニアフロムトーキョー)
7月1日~7月9日(大阪・大阪/dieci)

●取材協力
・イイダ傘店

小野洋平(やじろべえ)

最終更新:6/22(木) 7:02
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