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「iPad Proの日本語入力」がここまで快適に! JIS配列が加わったSmart Keyboardを試してみた

6/23(金) 6:25配信

ITmedia PC USER

 「iPad Pro」用のアクセサリーである「Smart Keyboard」と言えば、画面を保護するカバーとしての役割も果たす、超薄型のキーボードだ。独自規格のSmart Connectorを使って接続するため、Bluetoothのようにペアリングの作業が必要なく、また充電不要で利用できることが特徴だ。

【画像:既存のUS配列Smart Keyboardと比較】

 もっともこのSmart Keyboard、従来は「US配列」のモデルしか用意されておらず、日本語を入力するユーザーにとっては、非常に「惜しい」存在だった。それが今回、「10.5インチiPad Pro」の投入に合わせて、「JIS配列」の日本語キーボードが追加され、Macとほぼ同じキー配列で、iPad Proでの日本語入力を行うことが可能になった。

 本製品が発表されたWWDC 2017(世界開発者会議)の直後には、Twitterで「JISキーボード」なる単語がトレンド入りしたほどで、まさに日本語を扱うユーザーにとって待望の製品だ。

 今回は、このJIS配列のSmart Keyboardについて、基本的な構造や使い方の他、実際に10.5インチiPad Proと組み合わせた場合の使い勝手をチェックしていく。なおiPad ProのOSは、本稿執筆時点での最新版となるiOS 10.3.2でテストを行っている。

●材質や構造などは従来のSmart Keyboardを踏襲

 製品の材質は、既存のSmart Keyboardと同様、iPad Proを覆ったときに外側に来る面にはスエード調の起毛素材が、キーボード面には防水性のある素材が用いられている。

 構造についても従来モデルを踏襲しており、iPad Pro底面のSmart Connectorと磁力で吸着させたのち、キーボード上部のくぼみに近づけるとこちらも磁力で吸着し、スタンド形状を維持したまま固定される。最初のうちは組み立て方が分かりづらく感じるが、ひとまずiPad Proと合体させれば、その後の折り曲げ方の選択肢は限られているので、すぐに覚えられる。

 組み上がった状態では、画面の角度を変えることはできないものの、安定感は非常に高く、容易に倒れることもない。またキーはいわゆるメンブレンタイプだが、薄型の割にはしっかりとした押し応えがある。さすがにノートPCのキーボードなどと比べると分が悪いが、その構造上、タイピング音がほとんどしないメリットもあり、携帯用の外付けキーボードとして実用性は高い。

 また本製品はBluetooth接続のようにペアリング作業は必要なく、接続するとすぐに利用可能になる。接続時にキーボードに「日本語 - ローマ字」がない場合、追加するようダイアログが表示されるので、うっかり別のキーボード設定のまま使ってしまうこともない。

 さらに利用時も、給電もSmart Connector経由で行われるため、Bluetoothキーボードによくある、うまく動作しないのがペアリングの問題なのか、はたまた電池切れなのか、原因が切り分けられずに困るといったこともない。非常に気が利いている印象だ。

 キーボードをたたむ際は、キーボード部、カバー部、iPad Proをいったん展開し、まずキーボード部、次いでiPad Proを内側に折りたたむ。組み立て時に比べると、こちらは迷うことは少ないだろう。

 完全に折りたたんだ状態では上面に段差ができてしまうのも、従来と同様だ。なお、本製品が覆うのは、iPad Proのディスプレイがある正面のみで、側面および背面は保護されない。これらを保護したい場合は、Smart Keyboardとの同時利用に対応した保護カバーを別途入手する必要がある。

●「英数」「かな」キーで直感的なIME切り替えが可能

 本製品はJIS配列ということで、既存のUS配列のSmart Keyboardとは、キーの配置や形状が異なる他、キーそのものの数も異なっている。スペースキーの左に「英数」、右に「かな」キーがあり、2段にまたがった「Return」キーが採用されているのが、US配列のSmart Keyboardとの大きな相違点だ。

 これらはMacのキーボードの配列を踏襲しているので、日ごろからMacを利用していれば違和感なく併用できるだろうし、Windowsユーザーにとっても違和感は少ない。筆者の場合、普段の入力環境はWindowsがメインだが、今回のJIS配列Smart Keyboardであれば大きな戸惑いもなく、日本語の入力作業が行えた。従来のUS配列Smart Keyboardでは配置に慣れないことから入力に集中できなかったが、本製品はそのようなこともない。

 ところでJIS配列と言えば、2段にまたがるReturnキーの存在が目立つが、本製品の最大のメリットはMacと同様、スペースキー左右の「英数」「かな」キーでIMEの切り替えが行えるようになったことだろう。これまでであれば、「地球」マークのキーを押してIMEを切り替える必要があったわけだが、本製品では独立した「英数」「かな」キーを用いて直感的に切り替えられる。

 ちなみにキーピッチは約18.5ミリとかなり広い。iPad Pro本体が10.5インチとなって横幅が広くなったぶん、Smart Keyboardのキー幅およびキーピッチにも余裕ができた格好で、入力中に左右の指がこすれ合うといったこともなく快適だ。横方向のキーの数そのものが増えているのだが、Shiftキーや右寄りのキーの幅を変えるなどして影響を最小限に抑えている印象を受ける。

●9.7インチiPad Proとの組み合わせは「可能だがおすすめできない」

 ところでiPad Proユーザーの中では、従来の「9.7インチiPad Pro」で本製品を使用したいと考えている人もいるのではないだろうか。

 本製品は10.5インチiPad Pro用に設計されており、製品ページの互換性の欄にも10.5インチしか記載はないが、接続がSmart Connector経由であることに変わりはない。もし、本体幅がフィットしないことを我慢して、従来の9.7インチiPad Proでも問題なく利用できるのなら、手持ちの9.7インチiPad Proを10.5インチに買い替えずに、本製品だけを買い足すという選択肢が生まれてくる。

 先に結論を書いてしまうと「認識はするが、おすすめできない」というのが筆者の意見だ。確かにSmart Connector経由で接続し、認識させること自体は可能だ。天地および幅のサイズが異なるため、上下左右がわずかにはみ出してしまうが、それも1センチあるかないかといったところで、少なくとも利用時には全く気にならない。むしろ若干横幅が広いことから、タイプに余裕があるのは利点と言っていいだろう。

 ではなぜおすすめできないかと言うと、理由は2つ。1つはキートップの印字と入力文字とが完全に一致しないためだ。本稿執筆時の最新OSであるiOS 10.3.2で試したところ、10.5インチiPad Proではきちんと入力できる文字が、9.7インチiPad Proでは入力できなかった。例えば最上段のキーを試しただけでも、数字はきちんと入力できるものの、それ以外のキーが合致していない。これではストレスがたまることは必至だ。

 もう1つは、自動スリープ機能が9.7インチiPad Proでは働かないことだ。iPad Pro本体とサイズがきちんと合致していれば、カバーを1~2センチほど開くと画面がスリープから復帰し、それ以下になると消灯してスリープ状態になるのだが、本製品と9.7インチiPad Proを組み合わせた場合、完全に閉じた状態でも画面は表示されたままになり、バッテリーの消費を招いてしまう。手動でスリープさせなくてはならないため、機動力は大幅に損なわれてしまう。

 9.7インチiPad Proは本稿執筆時点で既にiPad Proの製品ページから姿を消しており、これが終息を意味するのであれば、新たにオプションが発売される可能性は低い。それゆえ10.5インチiPad Pro向けの本製品を流用するという発想が生まれてくるわけだが、少なくともキートップの印字と入力文字とが一致するよう改善されない限り、実用レベルで使うのは難しい。

 逆に、このJIS配列Smart Keyboardを使えることが、10.5インチiPad Pro、及び新しい12.9インチiPad Proの利点と言えそうだ。

●日本語ユーザーにとってまさに待望の製品 唯一のネックは価格か

 以上のように、JIS配列のSmart Keyboardは、US配列のキーボードに馴染めなかった日本語ユーザーにとって、まさに待望と言っていい製品だ。これまで「iPad Proで快適な日本語入力」をうたう外付けキーボードは数多くあったが、ことごとくUS配列の壁にはね返されていた。

 今回のJIS配列Smart Keyboardは、その壁をようやく越え、実用レベルでの日本語入力を可能にしてくれる製品として、高く評価できる。ここまで普通に使えてしまうと、ノートPCをそのまま置き換えるところまではいかないにしても、日本語のテキスト入力が快適に行えることを売りにしていた2in1デバイスや専用テキストツールにとっては、かなりの脅威となるだろう。

 ネックとなるのは1万7800円(税別)と、外付けキーボードとして見たときにはやや値が張ることだ。とはいえ、既存の9.7インチiPad Pro向けSmart Keyboardに比べると2000円の価格差しかなく、またUS配列のモデルよりも割高に設定されているわけではないので、キーボードにカバーを足した費用として、本製品を購入プランに織り込んでおくとよいだろう。

 ちなみに以前、9.7インチiPad Pro用のSmart Keyboardが登場してからしばらくたって、やはりSmart Connectorに対応したキーボードがサードパーティーから登場したことがあった。

 しかし今回はJIS配列という特殊なモデルであり、サードパーティーから別の選択肢が登場する可能性はあまり高くない。仮に登場した場合も、携帯性を中心とした機能面、及び価格面で本製品以上のメリットを提示するのは難しいというのが筆者の見立てだ。

 10.5インチiPad Proでテキスト入力を行いたいユーザーにとって、実質的な必須オプションであり、追って登場が予告されている「iOS 11」とともに、iPad Proの使い方を大きく変える役割を担うことになりそうだ。

[山口真弘,ITmedia]

最終更新:6/23(金) 6:25
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