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コンチネンタルとBMWがパートナーに選んだインテル、自動運転開発での戦略は

6/23(金) 7:25配信

MONOist

 インテルは2017年6月22日、東京都内で報道向けに、自動運転分野の取り組みに関する説明会を開催した。自動運転事業本部を2016年11月に設置して以降、インテルは自動運転に関して自動車メーカーやティア1サプライヤーとの協力を強化している。画像認識技術に強みを持つモービルアイ(Mobileye)の買収や、地図データ大手のHERE(ヒア)への出資も記憶に新しい。

 自動運転車によってつくられる“移動の経済”の市場規模が2050年には7兆米ドル(約777兆円)に達すると見込むインテル。その戦略とは。

●自動車メーカー、ティア1、地図会社……矢継ぎ早の協業

 直近でインテルが発表した自動運転分野の取り組みを振り返る。2016年11月には自動運転事業本部を新設したのに加えて、投資部門のインテル キャピタルが2年間に2億500万米ドルの投資を行う計画を公表した。2017年1月には自動運転開発プラットフォーム「インテル GO」を発表。5月にはシリコンバレーに自動運転の研究開発を行うAdvanced Vehicle Labを開設している。

 企業との連携も相次いだ。2017年1月に開催された「CES 2017」では、BMWグループやモービルアイと共同で自動運転の公道試験を実施することを発表。自動運転システムを搭載した「7シリーズ」40台を2017年末までに用意し、米国やイスラエル、ドイツの高速道路や市街地を走らせる。BMWグループはこの共同開発の成果を生かして2021年までにレベル3(ドライバーによる周辺監視が不要)の自動運転車を投入する。

 モービルアイの買収金額は全株式を取得すると153億米ドル(約1兆7500億円)に上るが、買収後はインテルの自動車産業向けの活動を集約しているAutomated Driving Groupを、モービルアイに統合する事業形態をとる。また、経営陣はモービルアイ 社長兼CEOのジブ・アビラム氏と会長兼CTOのアムノン・シャシュア氏が残る。モービルアイの体制は大きく変えずにインテルが歩み寄る。

 HEREへの出資は、自動運転用の高精度地図のリアルタイムアップデートを実現するためだ。インテルのCPUやクラウド基盤を活用し、地図データの常時更新に対応していく。HEREはAudi(アウディ)とBMW、Daimler(ダイムラー)によって買収されたが、現在は中国のTencentと子会社の地図データ会社NavInfo、シンガポール投資公社(GIC)も株主に加わっている。インテルの出資比率は15%だ。

●コンチネンタルとインテル

 レベル3以上の自動運転システムの開発に向けて、自動車メーカーやティア1サプライヤーと半導体メーカーが直接協力する事例が増えている。例えばGPU大手のNVIDIAは、トヨタ自動車やアウディ、Robert Bosch(ボッシュ)、ZFとの協業を発表している。

 インテルが組むティア1サプライヤーはContinental(コンチネンタル)とDelphi Automotive(デルファイ)だ。デルファイはBMWグループの自動運転開発に参加する形だが、「コンチネンタルとの協業は、BMWグループの取り組みと別物」(インテル 執行役員 Automotive担当の大野誠氏)となる。

●NVIDIAとインテル、アプローチの違い

 NVIDIAが自動車メーカーやティア1サプライヤーに提供するのは、自動運転用コンピュータの「DRIVE PX」「DRIVE PX2」と決め打ちで発表されているが、インテルのアプローチは異なる。大野氏は「自動車メーカーごとに要求は違うので、『われわれはコレで勝負する』と明確にするのは難しい。他社と同じものは使いたくないという声もある。公道試験で走ってみることで見えてくる本当に必要な性能もある」と説明した。

 コンチネンタルから自動車メーカーへは「インテルのプラットフォームを、コンチネンタルが拡張して提供していく」(大野氏)という。自動運転向けのプラットフォームは「Intel GO」として既に2017年1月に発表している。Intel GOはあくまで開発用で、消費電力の面で量産車にそのまま搭載するのは難しそうだが、ドライバーによる運転が不要なレベル5の自動運転までカバーする。

 Intel GOは低消費電力のIntel Atom プロセッサ、もしくは高パフォーマンスのIntel Xeon プロセッサを、FPGAのIntel Arria 10と組み合わせたもの。ソフトウェア開発キット(SDK)も提供しており、画像認識技術やディープラーニングのアルゴリズムをコーディングを支援、FPGAを設計しやすくする。

 GPUに対して優位に立つ武器は消費電力だという「FPGAはアプリケーションに合わせて最適化できるからこそ、消費電力を抑えられる。インテルはCPUとFPGAをトータルで提供できるのも強みになる」(日本アルテラ 社長の和島正幸氏)。

 Intel GOには自動運転車で発生するデータを収集・処理するデータセンターの技術や、データの収集やセンターで処理した後の車両へのフィードバックまでを担う5Gのプラットフォームも含まれる。

 プラットフォームに含まれる画像認識については、車載カメラで強みをもつモービルアイだけでなく、Movidiusなど複数の企業を買収。また、ミリ波レーダーやライダーについても「センサーメーカーとも協力関係を結んでいる。今後も関係は進んでいくだろう」(大野氏)という。

 CPUやFPGA、物体認識のセンサーのアルゴリズムまで「オプションをいろいろ用意して、自動車メーカーやティア1サプライヤーが選んで評価できるようにする。その上でさまざまな要求に応える」(大野氏)というのがインテルの自動運転に対する姿勢だ。

最終更新:6/23(金) 7:25
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