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手抜きナシ!リアルな演出を底力にした洗練の怪獣映画『空の大怪獣 ラドン』【名画プレイバック】

6/23(金) 22:12配信

シネマトゥデイ

 2016年、庵野秀明が総監督を務めた映画『シン・ゴジラ』が興行収入82億円を超える爆発的ヒットを記録。『ゴジラ FINAL WARS』以来12年ぶりとなる本家、日本でのゴジラ映画で、怪獣映画が何度目かの復活を遂げた。日本人って、なぜこれほどに怪獣映画が好きなのだろう? 監督・本多猪四郎×特技監督・円谷英二×音楽・伊福部昭と、初代『ゴジラ』同様の布陣で挑んだ映画『空の大怪獣 ラドン』を観て考えた。(浅見祥子)

【動画】日本が誇る怪獣王を復活させた『シン・ゴジラ』

 本多猪四郎は生涯で計47本の劇場映画を発表、その半数以上が特撮を駆使した怪獣映画・SF映画という、その道の大巨匠である。初代ゴジラだけでなく『モスラ』に『マタンゴ』、テレビでも「帰ってきたウルトラマン」「ミラーマン」を手掛けている。また黒澤明監督と友情を結び『野良犬』では助監督として、『影武者』から『まあだだよ』までの5本で演出補佐として作品を支えたことでも知られる。そんな彼が1954年に第一作目の『ゴジラ』を放った2年後、東宝特撮映画初のカラー作品として発表されたのが映画『空の大怪獣ラドン』なのだ。

 この映画の尺はたった82分、って短いな! 振り返って改めて驚く。それほど緻密で無駄がなく、ビックリな展開と派手な見せ場がごくナチュラルに1本の映画として収まっている。物語は阿蘇山の風景に始まる(→ここで2016年の熊本地震を知る我々は、これから劇中で起こるはずの“災害”を思って少しだけドキリとする)。付近の炭鉱で増水が起き、惨殺死体が発見される。致命傷となったのは、日本刀のような鋭い刃物でないと考えられないような頭部の傷。炭鉱に日本刀? あり得ない。では犯人は?--物語は、謎の連続殺人に始まる。

 暗くジメジメとした炭坑内で発見される惨殺死体、実験室に運び込まれたそれをごろりと手術台へ置き換えるときにチラッと見える死体の薄気味悪さ。ホラー映画のような陰湿な恐怖が漂う。そんなじっとりした空気をうち破るように爽やか美人のキヨ(白川由美)が登場するも、彼女もまた一連の事件の犯人が行方不明中の兄ではないかと苦悩している。彼女の家で恋人の河村繁(佐原健二)がそっと肩を抱いてなぐさめていると、そこへにょっきり! きゅるきゅるきゅるという金属音のような鳴き声も不気味な、巨大トンボの幼虫メガヌロンが姿を現す。

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最終更新:6/23(金) 22:12
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