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店頭デリバティブ取引にブロックチェーン、野村HDなど5社連合が実証

6/23(金) 14:59配信

日刊工業新聞電子版

■ISDAマスター契約、業界標準の文書対象

 市場を介さず、相対で取引される店頭デリバティブ取引でブロックチェーンを活用しようとする動きが進んでいる。野村ホールディングス(HD)を中心に金融機関など5社が連携し、契約業務のプロセス効率化をブロックチェーンで目指す実証実験を終えた。実務への適用にはまだ時間がかかりそうだが、デリバティブ取引の業務効率化は世界共通の課題であるだけに、実現した場合のインパクトは大きくなりそうだ。

 野村HD、大和証券グループ本社、みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、ブロックチェーン技術の有力ベンチャーである米R3が実証の対象としたのは、ISDAマスター契約と言われる店頭デリバティブ取引の基本契約書。ISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)が基本仕様などを定め、世界で実施されるデリバティブで業界標準の文書として利用されている。

 同契約は、関係者間での膨大な調整作業が負担となっている。契約当事者間の交渉のやりとりはもちろん、社内においても法律、税務など関連部署との調整が必要となる。このため契約条件の確認や合意などで膨大なメールによる送受信があり、業務をいかに効率化するかは世界の金融業界で共通の課題とされている。

 この課題をブロックチェーンで解決できないか、模索することが5社連合の狙い。実証ではR3が開発したブロックチェーンのプラットフォーム「コーダ」を活用し、野村グループと大和総研が分散型アプリケーションを開発。これをベースに実証したところ、メールの確認作業などを省略するとともに、アプリ上で確認や合意内容を時系列に記録、保管できることを確認できた。

 ISDAマスター契約による業務効率化は世界共通の課題。今後、実証から実務の段階へ移行する上でシステム開発といったコストがかかるが、このブロックチェーンに参画する金融機関の数をどの程度増やせるかもカギとなりそうだ。

 この点、「R3が参加しているのが非常に大きい」と野村HD関係者は話す。R3には日本を含む世界40社以上の金融機関が出資し、コンソーシアムを既に形成している。R3が実証に加わっていることで他金融機関から協力は得られやすくなる可能性はある。実際、実証完了後、国内外の金融関係者らから取り組みに賛同する声が届いているという。

 ビジネス展開には乗り越えるべき課題はまだ多い。ただ、実現できれば世界の金融機関に与えるインパクトは大きい。日本企業が主導してISDAマスター契約を効率化できるのか、期待は高まっている。