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データが語り出す新しい消費社会

6/23(金) 8:37配信

ニュースイッチ

“未来のお店”すぐそこに

 政府が掲げる新産業像「コネクテッドインダストリーズ」では、さまざまな場面で生じるデータが最重要要素とされる。個人の行動、企業活動などに関するデータがIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などにより容易に伝送・分析されることで、新たな価値が生まれるからだ。データを利用した新サービスが、日常生活、そして経済全体をも大きく変える可能性がある。
 2017年3月、経済産業省の主導で興味深い実験が行われた。買い物に関する個人データの利活用に向け、最適な仕組みを検討することが目的だ。レジスターメーカーの東芝テック、実験対象の店舗を運営するトライアルカンパニー、システムを提供するKDDI総合研究所などが参加。一般人約600人弱が被験者となった。

 実施場所は、ディスカウントストア「メガセンタートライアル新宮店」(福岡県新宮町)。買い物客はスマートフォンのアプリケーションを通じ、電子レシートのデータを管理できる。さらに、蓄積されたデータを個人が自分の判断で事業者へ提供できることが、この実験のポイントだ。

<個人が納得して提供する仕組みづくり>

 誰が、いつ、どこで、何を買ったのかを示す購買データは、食品メーカーなどが商品設計や販売方法を決める上で極めて有用な情報となる。だが、消費者との接点が少ないことや、プライバシーなどの理由から、こうした個人情報が存分に活用されているとは言いがたい。

 このため、「事業者ではなく、個人が起点となって、安心・納得して自身の個人情報や購買履歴データを提供できるシステムを実現する」(商務流通保安グループ流通政策課)ことを目的に、実験は行われた。

 実施期間は3月1日からの12日間。被験者が架空の事業者からデータ提供の依頼を受け、それに同意した場合にスマホの操作でデータを送信できる仕組みを構築した。事業者側はデータ提供者に対し、店舗で利用できるポイントなど特典を用意する。

 被験者は個人情報の提供範囲を任意に選ぶことができる。例えば年齢情報については、「提供する」「提供しない」のほか、「20代」「30代」など抽象的な形で知らせることも可能だ。

<コンビニ1000億枚宣言>

 経産省はこのほか、電子タグを用い流通情報をリアルタイムで収集するシステムの構築も目指している。セブン‐イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンなどコンビニエンスストア大手と共同で、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定。2018年をめどに実証実験を始める計画だ。

 こちらは、コンビニ商品一つ一つに貼り付けられた電子タグの働きにより、どこで、どんな商品が流通しているかなどを簡単に把握・管理する仕組み。実用化されれば生産量の最適化や効率的な共同配送の実現などにより、「製造、物流、卸、小売りの垣根を越えたムダの削減が可能になる」(同)という。タグの低価格化、貼り付け手段の高度化などさまざまな課題に官民で挑みつつ、2025年までに実用化する構えだ。

 これに先立ち、ローソンとパナソニックは2016年12月、完全セルフレジ機「レジロボ」を、大阪府守口市のローソン店舗に試験的に設置した。商品を専用の買い物カゴに入れ、レジに置くと自動的に精算し、カゴの底が開いてビニール袋に商品を入れる。

 このため、店舗スタッフが商品のバーコードを読み取ったり、袋詰めをしたりする必要がない。精算や袋詰めは数秒間で終わり、カゴから袋に入れる動作はゆっくりであるため、卵などが割れるリスクは低い。

 この取り組みは経済産業省の補助事業「ロボット導入実証事業」の採択を受けた。目新しさもあり、実験中の客数と売り上げは従来より2割伸びた。“未来のお店”として、近隣の子供たちにも人気だったという。ローソンは2017年9月以降、関東も含め約10店舗に、レジロボを設置する予定だ。

 この実証実験では商品をカゴに入れる際、カゴに付いているスキャナーで商品のバーコードをスキャンする必要があったが、2017年2月の実験ではさらに進化。商品一つ一つに電子タグを付け、バーコードを読みとらなくても、無線を通じて自動的に商品情報を取得できるようにした。

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最終更新:6/23(金) 8:37
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