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大阪府立大、農作物の光合成促すフィルム 被せるだけで栄養・収穫量増加

6/23(金) 15:30配信

日刊工業新聞電子版

■機能性蛍光色素、太陽光の波長を変換

 大阪府立大学研究推進機構21世紀科学研究センターの中澄博行特認教授らは、農業用の太陽光波長変換フィルムを開発した。太陽光の波長の一部を変換し、植物の光合成に必要な波長の光を増やす。生産性や品質の向上につながる。ヘキサケミカル(大阪府東大阪市)やシプロ化成(大阪市東淀川区)など関西の中小蛍光色素メーカー6社と連携し開発。チャックシール付き袋メーカーのハイパック(東京都港区)の協力も得て2018年の製品化を目指す。

 中澄特認教授と企業のグループは光合成に使われる青色光の波長に着目。フィルムに機能性蛍光色素を付着し、光合成に使うよりも少し短い波長の光を量を減らさずに変換する。トマトのリコピンやブドウのアントシアニン、ポリフェノールなどの成分の含量増加を確認した。

 開発にかかわる他の企業は新中村化学工業(和歌山市)、山陽色素(兵庫県姫路市)、日本化学工業所(和歌山市)、ヤノ技研(兵庫県宝塚市)。同フィルムは均一な色付きにもつながり、見た目も向上する。フィルムの配置方法により日当たりの悪い場所での収穫量向上も期待できる。

 17年中に全国の農家約20軒やワインメーカーなどと、ブドウの果実にかぶせるチャックシール付き袋での実証を進める。効果的な厚さや耐候性など詳細な条件を検討する。今後、レタスなど葉野菜や花への応用も目指す。

 同フィルムの開発は16年度の経済産業省ものづくり中小企業・小規模事業者連携支援事業による成果。蛍光色素を利用した農業分野向けフィルムは、中小の色素メーカーにとって長期的な需要が見込め、付加価値で勝負できる新市場として期待できる。