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東芝再建、「日米韓連合」に漂う投資負け

6/23(金) 11:40配信

ニュースイッチ

首位サムスンとの差は広まる一方か

 東芝が半導体メモリー子会社、東芝メモリ売却の優先交渉先に「日米韓連合」を選定した。今後詰めの調整を進めて正式決定すれば、ようやく「再建」のスタート地点に立つ。

 NAND型フラッシュメモリー市場は、データセンター(DC)向け需要が好調で、2020年頃まで安定的な成長を見込む。東芝メモリの「最低でも2兆円」の評価額は、この成長市場で世界2位のシェアを持つ競争力の高さが根拠の一つだ。しかし売却交渉の最大のネックである「時間ロス」は、その競争力も低下させかねない。

 競争の主軸は、3次元(3D)構造のNANDメモリー。16年から同製品の量産を始めた東芝は、13年から量産を始めた首位の韓国サムスン電子を追う格好だ。

 その技術力の差は徐々に縮まっており、売却話が持ち上がる前から設備投資競争は激化。東芝は、当初はこの春にも四日市工場(三重県四日市市)で現在建設中の第6製造棟の次の新棟建設を決める計画だった。

 しかし売却交渉の混迷を受け東芝メモリの投資の動きは鈍っている。その間にサムスンは猛攻撃をかけ、東芝を引き離しにかかっている。IHSテクノロジーの南川明ディレクターは「一番の問題は時間。長引けば長引くほどサムスンにとっては好都合」という。

 現在の3D構造NANDは需給がタイトだが、サムスンや韓国・SKハイニックスが増産投資を仕掛けており、19年頃には市況が軟化する見通し。中国メモリーメーカーの参入も予測され「好調なまま20年まで続くとは考えられない」(南川ディレクター)。機動的な投資ができる体制を早期に構築しなければ、競合との差は開く一方だ。

 より重大な課題は、協業先であり対立が激化している米ウエスタンデジタル(WD)との関係修復だ。対立が続けば、製造設備を折半で投資する四日市工場の運営にも影響が及びかねない。しかし「WDはSKハイニックスを良いパートナーとは考えていない」(業界関係者)。

 WDは21日、「同意なしに事業売却をすることは契約違反で、売却への合意は契約への不当介入だ」と強く批判。「東芝は法的手続きを無視しており、我々は自社の権利を主張し続ける」と声明を出した。もし両社が決裂すれば、市場での勝ち残りは難しいとの声もある。

 南川ディレクターは「今後の需要の中心はDC向けのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)。サーバー企業を多く顧客に抱えるWDとの関係を修復し『ストレージ・ソリューション』として提供することが、勝ち抜くことに必要だ」と訴える。

最終更新:6/23(金) 14:38
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